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私、振られた？
吉沢くんを振った罰かな？
そもそも、兄妹になっちゃったなんてどういう罰なの？
おにいちゃんを追いかけることもできなくて、部屋に入って、ガクガク震える手でおにいちゃんの写真を見る。
ハンバーグをもぐもぐしてる写真。
最後の夜、すごくすごく美味しそうに食べてる姿を見て思わず撮った。
眉が下がって口いっぱいに頬張って、目を細めて私を見てる。
可愛く撮れたって私がスマホを見て笑ってたら、携帯を取り上げて、コラ、って言って、取り返そうとしたらキスされた。
ハンバーグの味。
おにいちゃん。
好きだよおにいちゃん。
好きだから、不安になるのは仕方ないでしょ？
老夫婦でもなきゃ絶対的な信頼関係なんて築けないよ。
もう痛みも残らない火傷の傷跡を見て、涙がボロボロ零れた。
すき。
すきだよ。
だから、もう耐えられないよ。
誰かの声が聞きたくて、つい吉沢くんに電話をかけようとして、自分の最低さに、自己嫌悪で頭痛がした。
もう、恋なんてしない。
もう二度と、誰も好きにならない。
恋なんてするから。
傷ついたり傷つけたり、苦しんだり胸を痛めたりするんだ。
両想いの方が辛いなんて聞いてない。
始まったら終わるってことを、
私は知らないままだった。
咲く花は散る。
形あるものは全て壊れる。
人間だって、生まれた瞬間、いつか死ぬことが決まったということなんだもの。
小さくなって胸の痛みを逃してたら、松本先輩から電話がかかってきた。
久しぶりすぎて緊張しながら電話を取る。
「もしもし」
「ああ、A」
「お久しぶりです」
「お前、体調大丈夫なの？」
「……はい、私が具合悪いんじゃなくて……」
「……友達のだった？」
松本先輩がため息を吐いた。
「お前、ニノと付き合ってるんだろ？」
「……付き合ってません」
「隠れてあったりしてないの？」
「……え？」
「ニノ、好きだった子と両思いだったって嬉しそうに言ってたからてっきりお前だと思ってたんだけど」
「……」
「だから、お前が買ってるものがちらっと見えて……ニノに言わなきゃって焦って、ごめん」
「いいんです、これで良かったんです」
「……」
「最初から、無理だったんです、諦めます……」
松本先輩がため息を吐いた。
「受験前であいつもピリピリしてるんだよ、失敗できないし」
「……」
「そんなこと言わずにもうちょっと待ってあげてよ……」
松本先輩の言葉にまた涙が零れた。
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2016年5月31日 0時
