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「ただいまぁ」
玄関でよく通る声で先輩が言った。
「おかえり」
「おかえり」
中から二人のおかえりって声。
女の人のおかえり、って声が家の中から聞こえる不思議な感覚。
「ね、お父さん、宅録できんの？」
先輩が居間に入るなりいきなり聞いた。
「お？和くん楽器やんの？」
「ギター！ピアノもちょっとね！独学だけど」
「いいね！こっちおいで」
お父さんと先輩が2階に上がって、防音の奥の部屋に入っていくのを何となくついていく。
「すっげー！」
「もう古い機材だから無駄に大きくて」
「え？ミキサー？パソコンもおいてる！編集できんの？作曲とかできんじゃん！」
目がキラキラしてる。
「本格的にやってたからね……ボーカルがハワイに永住してドラムが家業が忙しくなったから解散してね……」
「もったいねー！」
「使っていいよ」
「まぁじで？」
先輩がとっても嬉しそうに、ギターをなでた。
「勉強の息抜きにね？」
お父さんが微笑んだ。
「あは」
「……受験勉強の息抜きに遊んでいいよ、バイトも減らさないとなー」
先輩がぱっとお父さんを見上げた。
「……」
「ん？」
先輩の目が、こぼれ落ちるようにキラキラと光った。
「もしかして、これは夢かな？」
「受験生に夢なんてないぞ」
お父さんが先輩の頭をポンポン、と撫でる。
「肩の荷、少しおろしなさい。そんな早く大人にならなくてもいい」
「……」
「大丈夫、ちょっとは俺を頼んなさい」
先輩が泣くのを我慢するみたいに唇をぎゅーと噛み締めた。
「それに、お父さんなんて無理して呼ばなくていい」
「……」
「その機材を泊まり込みで貸してくれる親切なおじさんポジションから始めるよ、無理しないように」
ああ、お父さん、気づいてたんだ。
二宮先輩の計算。
「ごめんなさい」
「何が？」
「謝りたくなったから、謝った」
「変な奴だなぁ」
「お父さん、って呼んでいい？」
「もちろん」
あぁ、先輩。
無理してたんだ。
肩の力がふわっと抜けたみたいに、えへって笑って機材を眺めた。
「かーちゃんを宜しくね、お父さん」
「うん」
ね、もしかして。
先輩のお母さんの一番の心配は先輩のこと、のはずで。
その心配を取り払ってあげたかったのかも。
お父さん、先輩のお母さんと付き合いたいだけなら、再婚なんて考えないよね？
それを、考えた理由は。
先輩のため？
どういうわけか、
お父さんにありがとうと言いたくなった。
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なるちゃん(プロフ) - うわーん！ 涙涙、、、 カズくんがお兄ちゃんでよかった！！ (2018年1月29日 10時) (
レス) id: a1fe1fb9b8 (このIDを非表示/違反報告)
こずえ(プロフ) - こんばんは。いつも読ませて頂いてます。年の近い兄ってこんな感じなのかなって想像しながら読んでます笑 冷たくしてしまうお兄ちゃん…素直じゃないですね〜 これからどうなるのか楽しみです！ (2016年5月13日 23時) (レス) id: bf5dbd1af4 (このIDを非表示/違反報告)
るこ(プロフ) - こんにちは♪お兄ちゃんたらっ///本当に素直じゃないんだからと、悶ております♪今度はいつ、甘やかしてくれるのかしらん♪ (2016年5月13日 14時) (レス) id: c20acea42a (このIDを非表示/違反報告)
梨沙(プロフ) - お兄ちゃんのバカ！でも好きで好きで死にそうです。今日はどんなウィンクで殺しに来るのかと♪(´ε｀ ) (2016年5月13日 13時) (レス) id: e385bf4ae4 (このIDを非表示/違反報告)
ebi信号(プロフ) - 我のアホな行動、言動にズドーンと堕ちてた、けど、やっぱり読みたくなってしまう…(T＿T)ｼｭｰﾝ (2016年5月13日 13時) (レス) id: 76d9f58a12 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2016年4月22日 14時
