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「櫻井くん、え？」
髪が一部逆立ってる！
つーんって顔してる。
「はあ、すっきりした」
「……」
「今の見てどう思った？俺も家でたまにやるんだけど」
「え！……え！」
「引いた？」
「引かない、むしろ……」
「なに？」
「なんで布団にやるのよ、勿体無い」
「ほら！そう思うだろ！」
櫻井くんが立ち上がって私の手に持ってるビールを取り上げて、一口飲んでから、テーブルの上に置いた。
にーって笑う。
「ええい！」
櫻井くんが私を抱え込んでベッドにどーんって押し倒す。
「う！」
「Aさああああん！」
そのまま、さっきの布団みたいに私をぎゅうううって抱きしめてきた！
「え！ちょっと！」
「好きだー大好きだー！どうしてくれるんだこのバカ女！」
負けない！
「そっくりそのまま返す！こんなに好きにさせてどうするつもりよ！負けないもん！」
ぎゅうう。抱き返してやれ。
櫻井くんが、は、って喉の奥で笑った。
「言っときますけどAさんには絶対、負けませんよ！」
「私に勝てると思わないでよね！すっごい好きなんだから！」
「いやいや、俺のほうが」
「いーや！私のほうが」
「いいえ！俺のほうが」
じー。
見つめ合った。
私達何してるんだ。
「これさ、周りから見たら超イタイよね？」
「あ、気づいちゃった？」
櫻井くんが私の首の下に腕を通して猫とか犬に触れるみたいに、逆手私の顎をスリスリ撫でる。
なでなで。
おでこにチュ。
ううう。甘くてとろける。
「引かないの？」
「もっと好きにさせるなんて何事だとは思ってるけど」
「それは私もだよ、何事よ」
「明日はもっと好きになるんだろうなと思ったら自分に引くけどね」
「それはこっちのセリフだよ」
あーもう。
甘くて甘くて、胸焼けしそうだよ。
胸がぎゅーって熱くて苦しいよ。
「Aさん、俺の彼女になってさぁ」
「うん」
「世界一のバカップル目指そうよ」
「そうする……」
「誰にも負ける気がしない」
櫻井くんがあは、って笑って私を見下ろした。
「あわわ、可愛い」
ぎゅー！抱きつく！
「うわぁ！なんだこの可愛い生き物！」
ぎゅー。
合わせてくれるのかな？
ふふふ。
「ね、お蕎麦は？」
「あとで。先にこっち」
櫻井くんがふ、って笑う。
「うー、可愛」
櫻井くんが人差し指で私の言葉をシーって遮った。
「今からしばらく可愛いは禁止」
とびっきり可愛い笑顔。
可愛いって言いたくなるのを、
櫻井くんがチュ、って口止めした。
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2016年3月29日 21時
