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「……え？」
腕を組んで、ちょっと唇に触れながら首をかしげる櫻井くんがかわいくて私もうすぐ死ぬ。
ベッドにダイブ。
そのまま布団をぎゅうううって抱っこして、くうー！ってじたばた。
「え？Aさん？」
もういい。後は野となれ山となれ。
「櫻井くんがだいすきだーーーー！」
「はあ？」
「なんでこんな可愛いの、私をどうするつもりなの？可愛くって生きてるのがつらい！」
「……」
「すきー！可愛いー！だいすきだー！」
「……Aさん？」
「よし！」
がばあって起き上がったら、櫻井くんが目を丸くした。
「すっきりした！あふれそうになってた大好きをちょっと発散した。これが日課。引いたでしょ、帰っていいよ」
「……それってさぁ、ため込むからそんなことになるんじゃないの？」
櫻井くんがまだびっくりしてる。
「だってどうやっても蓄積されていくんだもん。どこかで発散しなきゃ」
「でも何故それを布団にやるんだ！」
「どこに出せばいいのよ！」
「俺に出せよ！」
「無理よ、だって部下だもん！」
「……」
妙な沈黙。こういう空気になるのはわかってた。
ギャップがありすぎて怖いよね、自分でもそう思う。
「はああ、」
おおおため息！しかもでっかいの。
「……こんな風に昇華されてたとは……」
「……」
「普通、そういう気持ちがあふれたときに、ぽろっと、好きって本人に言っちゃったりするよね」
「まあ、そうなんだろうね」
「Aさんが俺に対して全くノーリアクションだったのって……」
「家まで持ち帰るからですね」
「……」
「仕事は持ち帰らない主義です。プライベートは職場に持ち込みません」
「……さすがですね」
うーん。なんだか妙な空気に。
ぽりぽり。
立ち上がって、冷蔵庫のビールを取り出す。
缶のままぐびぐび。
「引いたでしょ、私と付き合わない方がいいと思うんだけど」
「……」
櫻井くんがばっ！と立ち上がってジャケットを脱いだ。
ネクタイもするん、と外して、私をちらっとみた。
いきなり、どーんってベッドにダイブしちゃった。
なに！
布団をぎゅうう、って抱っこして、ぐるんぐるんしてる！
「え？え！」
「Aさんが、大好きだー！」
「……」
「くっそ、なんであんな可愛いんだ、必死で上司ぶっちゃってんのに見るたび半泣きなってるし天然だし！可愛すぎる、俺を萌え殺す気か！」
「……」
「好きだー！大好きだー！」
櫻井くんがむくっと起き上がった。
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2016年3月29日 21時
