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ひとしきり泣いた翌日。
仕事行きたくない。
毎朝思うけど今日は本気で。
どの面下げてお早うとか言うんだ。
今日休みだったら良かったのに。
なんて思いながら仕事に行く準備をする。
昨日は櫻井くんの片付けとか何もする元気がなくて、ベッドに入ったけど全然眠れなかった。
うつらうつらしては目が覚めた。
体がだるい。
なのにお肌ツヤツヤな自分が許せない。
好きな男に抱かれたからか！なんだそれ。
のろのろとクローゼットを見て、ピンチハンガーが突っ込まれてるのを見て、ため息が出た。
あの後何度か電話したし、折り返し連絡くださいってメールもラインもしたのに、ラインも既読にならなかった。
どうしよう。
傷付いてたらどうしよう。
職場について、今日は誰も集まっていない掲示板の辞令の紙をぼーっと見る。
背後に人の気配がした。
「おはようございます、チーフ」
櫻井くんの声！
慌てて振り返る。
「何度見ても変更にはなりませんよ」
は、って馬鹿にしたみたいに笑う。
「こら！櫻井くん」
「なんですか？」
昨日とは違う、なんだろう、この雰囲気。
拒絶してるみたいな、目の奥の優しさが、今日は、なくて。
「話したいことがある」
「ああ、わかってます、気にしないでください、弁えております」
「……」
「もう、諦めますから、お気遣いなく」
諦める？
諦めるって何を。
「諦める？」
「失礼します」
櫻井くんが爽やかに微笑んで立ち去る。
もう今までと同じようには見えないよ。
可愛いのは変わりないけど。
「コラ待て櫻井」
「はぁ？」
うわ、態度悪い！
「話があると言っている」
「手短にどうぞ！僕疲れてるんで！」
「どうして！」
「昨日歩いて帰ったから！」
「タクシー使えばよかったのに！」
「誰かさんが追いかけてくるかなとか思って、歩いて帰って！途中からやけくそ。1時間半かかりました！」
「電話したよ！」
「ああ、そうですか！電話！電話で済まそうと思う程度のことですね！もういいです、あんたの顔見てたらイライラするんで僕はこれで」
「あんたって何」
「じゃあお前」
「先輩なんですけど！」
「尊敬に値する先輩ならちゃんとした態度とりますが何か」
睨み合う私達。
「話を聞きなさい、って言ってるのがわからないの？」
「だから今聞いてるでしょ、何ですか？」
「態度を改めなさい！」
「うるせ、どの口が偉そうに言ってんだ、昨日はあんなに……」
櫻井くんが悲しそうな顔をした。
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2016年3月29日 21時
