28 ページ28
まぁ、結論から言えば。
私ってば可愛い櫻井くんと。
あの！
あの可愛い櫻井くんの！
男らしいとこ見ちゃって頭からシャワー浴びてるとこです、今！
言葉攻めとかはされなかったけどずっと馬鹿にしたみたいに、ふふ、とか笑って余裕綽々だったことがちょっとムカツク。
知らなかった。
奴は女に慣れていた。
私の一枚うわてだった。
はいはい、よしよし。
って感じで、簡単にあしらいやがって後輩め。
死ぬほどかっこいいじゃないの！
可愛い櫻井くんをかえせ。
ううう。
Aさん可愛かった、とか言って頬ずりとかしてくる櫻井くんの腕からスルリと抜けて。
かっこつけて『シャワー浴びてくる』とか冷たく言って浴室に入ったはいいものの。
う、動けない。
思い出すだけで体中がキュンキュンうるせえ。
櫻井くん、調子のっちゃって
『A、こっち……』
とか呼び捨てして指示しやがって……！
後輩のくせに。
何度何だこの色気！殺す気か！
と心の中で叫んだことか。
見下されて、馬鹿にしたみたいに片方の唇だけを吊り上げて笑ってるセクシー櫻井くんが。
残像になって、とにかく。
すっっっっげー良かった。
何が良かったかって、
とにかく一生分のいいものを見せてもらったって感じだわ。
そしていいものを聞かせていただいた。
私を呼ぶ声とか。ため息とか。吐息とか。
あ、ダメだ。
思い出すな私。
死ぬ。
ってかまだ立ち上がれない。
このまま排水溝に流れてしまいたい。
戻ったらあのかわいい櫻井くんがベッドでむにゃむにゃやってると思ったら。
酔ってたからってなかったことに！
は、ならないか……
どうすんの？
このあとどうなんの？
私達、付き合うの？
いやいや、ないない！
ないよ！無理だよねぇ？櫻井くんだよ！
櫻井くんどういうつもりなんだ？
まさかマジで体を張って慰めてくれた？
ってことなら
元気出たよ！ありがとう！って？
いや、なんか違う。
まだ元気でないの。ってまた連れて帰りそうな自分がすごい想像できる。
ううう。
しゃがみこんでずっと動けないでいたら、コンコン、とノックの音がした。
「……Aさん？」
「……えっ！」
「Aさん？」
「な、なに！」
「開ける」
うおい！
なぜ！
コイン一枚で簡単に開く形式の鍵だもの、そりゃ開くけど！
ガチャ。
櫻井くんが覗いて私を見た。
さっきさんざん見られたとはいえ、明るい浴室で全裸見られるのはさすがに！
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 5677人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2016年3月29日 21時
