３、オケ部とブラバン ページ3
「入部……希望で」
なんだか、妙な雰囲気。
遠くに聞こえるロングトーンの音と、パート練習の音。
遠くに？
ああ、第一音楽室から？
でも、ここは、第三音楽室……。
あれ？
「ね、Aさん？とか言ったよね？２組の転校生。ブラバンだよここ。オケ部じゃなくていいの？」
「え？」
「え？ああ、まだ何もご存知ではない……まぁ、どうぞ。掛けて」
その人が手のひらで目の前の椅子を示した。
同級生なのかな。
しっかりした感じの。
「ごめんなさい、状況が、よくわからなくて」
「だろうね。どうも。はじめまして。副部長の櫻井と申します。部長は遅れてきますから後で紹介しますね」
「はい……」
ちらっと、横を見たら、私の横に椅子を持ってきて、元気な彼が座った。
「ええー！翔ちゃあん。ぶちょーでしょー！オケ部のぶちょー！帰ってきてお願い」
「彼のことは気にしないでいいから。パートは？」
「やだよぉ、帰ってきてよぉ！」
「今は相葉くんが部長でしょうが。頑張ってくださいね。応援してます」
あ、そうだ。
出席番号一番の、相葉くんだ。
「待ってよー！」
「もうすぐ合奏だろ？早く帰れってば」
「いや！……決めた！決めたぞ！おれは！きょーから！ブラバン部員だ！」
「……」
「むさ苦しい男だけだったらやだけど！Aちゃんが入るなら入る！」
「それならちゃんと然るべき手続を……」
「や、ごめん、帰ってくれるかな」
だるそうに、準備室の扉を開けて入ってきた男の子。
「ひでーニノ！ひでー！」
ニノ、と呼ばれた男の子と、目がバチ！っと合った。
「……」
「……」
「……だれ」
ニノって呼ばれた彼は。
私をじいいいっと見て、記憶の中から思い出そうとして一瞬目を瞑って、うん、と言った。
「うん。知らないこ。ってことは昨日相葉さんが言ってた謎の美少女転校生ね」
「そうそ！」
相葉くんが、ね？っていいながら私を覗きこむ。
「謎の美少女転校生は魔法使えんの？」
「え？」
「入部。決まったんでしょ？魔法少女」
ニノって呼ばれた彼が首を傾げた。
カバンを棚の上に置いてゆっくり近づいてきて、櫻井くんの隣に座った。
長机を２つ並べて、向かいの席の真ん中。
端じゃなくて真ん中に、座った。
近くで見たら、子犬みたいに目をキラキラさせてる。
笑い出しそうな表情で私を見た。
「ね、ここブラバンだけどいいの？」
「……」
「その話、まだしてない」
櫻井くんが、苦笑いした。
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みゅう(プロフ) - 解放ありがとうございます。涙。だいすきです。。 (2019年10月20日 22時) (
レス) id: 94596ebf5a (このIDを非表示/違反報告)
あやか(プロフ) - この学校に通いたいです。。こんな青春したい。。よしのさんのお話すごいツボです〜 (2016年1月6日 22時) (レス) id: 8994b070b7 (このIDを非表示/違反報告)
RAITO - こんにちは!!RAITOと申します。読ませていただきました。今までとは少し違うテイストの物語でわくわくします《*≧∀≦》青春の甘酸っぱい香り!! (2015年6月27日 11時) (レス) id: 485e47e579 (このIDを非表示/違反報告)
ちょりん(プロフ) - 高校までの6年やってたユーフォが出て浮かれてたら、最近始めたコンバスが！しかも担当が！勿論話も楽しくて(><)何があるのかドキドキしてます！ (2015年6月10日 1時) (携帯から) (レス) id: 83acbf6b6f (このIDを非表示/違反報告)
ぽにょか(プロフ) - 青春、ＳＦ、長編、どんと来〜い♪ 楽しいです。切なさもありつつ、和の避けたかった未来、それでよかったのか和と、分からないまま 和を叱咤激励、主人公ちゃんを応援しながら日々過ごしてます。 (2015年6月9日 23時) (携帯から) (レス) id: 0bab093355 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2015年5月30日 17時
