17、淡い想い(6/6) ページ17
準備室に入ったら、中には松本くんが居て、私の顔をみていきなり、言う。
「おつかれ。らんは？うちに入らねーの？」
「……うーん……バイトしてるし……」
「バイト？乙女ゲームで課金するために？」
ウケケって笑ってる。
「どうなんだろうね」
「あいつあんなんじゃなかったのに」
「……ん？」
「同じ中学で、中２、中３って同じクラスで」
「……へえ！初めて聞いた」
松本くんがトランペットを分解して掃除してて、その横に座る。
グリスを塗って、真剣な顔。口が尖ってる。
「……もっと普通の可愛いやつだったのに」
「……」
「隣の席が２回続いて、仲良くなって」
「……うん」
「３年になってまた同じクラスかよーって、席も近くて」
「……へえ」
なんだかこれは。
なんだか、ちょっと淡い想いの匂いが。
「あいつは陸上部で、走るの早くて……」
「うん」
「でも足怪我してさ、アキレス腱伸ばした？とか言ってたな。それで最後の大会出れなくて、泣いてて」
「……」
「俺のシャツ、涙でべっとり。タオルに使いやがった」
あははって、笑ってる。
かなり仲良しだったんじゃない。
「悪いことした」
「ん？」
「それを見られてたせいで、あいつ……いじめって言うかさ、皆に色々言われて。友達も離れて……で、同じようにクラスでどの派閥にも入ってない子とつるみだして」
「……うん」
「俗に言う、二次元に興味がすげーある奴らと仲良くなった」
「あーあーなるほど」
「同じ高校に入ったけど、目が合ったら逃げる。地元一緒だし本屋とかでも会うけど、会ったら逃げる」
「うん」
「俺のこと嫌いなんでしょ？だからブラバンには入りたくねーって言ってんじゃないの？」
「紹介状ないと入れないけど、入れたら誘ってって笑って言ってたよ」
「紹介状？そんなもんいるわけねーよ、推薦は必要だけど」
松本くんがあははって笑う。
「松本くんによろしくね、私が宜しくって言ってたこと言わなくていいからね、って感じのこと言ってた、そういえば」
「……マジ？」
「嫌いって感じではないと思うんだけど」
松本くんが、オイルを差しながら、私の顔を見た。
「嫌いじゃない……？」
「うん。多分。嫌いなら名前もださないでしょ」
「……」
「……らんちゃんも誘おうかな。いい？」
「うん。いいよ。あいつは、特別」
松本くんが、パーンって音を出した。
明るい音がした。
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みゅう(プロフ) - 解放ありがとうございます。涙。だいすきです。。 (2019年10月20日 22時) (
レス) id: 94596ebf5a (このIDを非表示/違反報告)
あやか(プロフ) - この学校に通いたいです。。こんな青春したい。。よしのさんのお話すごいツボです〜 (2016年1月6日 22時) (レス) id: 8994b070b7 (このIDを非表示/違反報告)
RAITO - こんにちは!!RAITOと申します。読ませていただきました。今までとは少し違うテイストの物語でわくわくします《*≧∀≦》青春の甘酸っぱい香り!! (2015年6月27日 11時) (レス) id: 485e47e579 (このIDを非表示/違反報告)
ちょりん(プロフ) - 高校までの6年やってたユーフォが出て浮かれてたら、最近始めたコンバスが！しかも担当が！勿論話も楽しくて(><)何があるのかドキドキしてます！ (2015年6月10日 1時) (携帯から) (レス) id: 83acbf6b6f (このIDを非表示/違反報告)
ぽにょか(プロフ) - 青春、ＳＦ、長編、どんと来〜い♪ 楽しいです。切なさもありつつ、和の避けたかった未来、それでよかったのか和と、分からないまま 和を叱咤激励、主人公ちゃんを応援しながら日々過ごしてます。 (2015年6月9日 23時) (携帯から) (レス) id: 0bab093355 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2015年5月30日 17時
