13.雪月花 ページ16
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「兄さん。若旦那来んせんね…続いて来ていんしたのに」
Aの新造、朝霧がそっとAの顔を伺いながら、言葉にした。
Aは顔色ひとつ変えることなく、すぐに返答した。
「なんじゃ、朝霧。若旦那に惚れたかえ」
Aは艶のある唇をにぃっと上げ、悪びれるようににたにたと笑った。
朝霧は顔を赤くしながら、首をブンブンと振り、それを否定した。
「兄さんの客にそんなこと出来んせん！」
「そんなむきになることないよ。逆に怪しんす」
Aは朝霧の顎を掴み、ふっ、と柔らかく笑った。
すると、朝霧は無垢故にA相手にでさえ、顔をまた赤くする。
Aは面白くて、たまにするのだ。
「に、兄さん近いでありんす…っ」
「そういうのは客にしなんし」
「に、兄さんこそ…」
「あ？」
「なんでもありんせん」
すると、戸をトントンと叩く音がした。朝霧が、戸を開けると若い男が立っていた。*若い衆である。
*若い衆:奉公人。男。若くなくても、こう言われる。
「華永野さん、呼び出し入りました。＿＿＿様です」
客は大名の妻。Aの馴染みの1人だ。Aは、はぁっ、と溜め息を吐き、重い腰を上げた。
「承知しんした。朝霧も支度しなんし」
「あい」
「亜簾様、吉原は行かれないのですか…？」
若葉は亜簾の気を伺いながら、問うた。亜簾は少々バツの悪い顔をして、俯いた。失恋したなんて、格好が悪い。否、別に若葉相手に格好つけることは無いのだが。
「若葉には関係ない」
「そ、うですよね…」
若葉がまた簪を選び始めた。元々、店で簪を選んでいたのを待っていた亜簾に突然そう聞かれた。
「あっ…」
じっと、若葉がひとつの簪を見つめていた。欲しいのが、あったんだろうと亜簾は思ったが、どうにも唸っている。亜簾が近づき、若葉の持ってる簪を手に取った。
「亜簾様？」
「*銀35匁か。あるのか」
*銀35匁:7万5000円
高い。こんなの持って何がいいのか。見映えはまぁ値段通りいいだろう。
「足りないです…」
亜簾は若葉の言葉を聞いて、仕方なく金をだした。店の主人に亜簾は金を出すと主人は手を擦り合わせながらにたにたと近付く。
「こりゃ、淀屋の若旦那。そちらのお嬢ちゃんは…これですかい？」
店の主人は薬指をピンと立てて言った。亜簾は、見流した。
「違う、ただの奉公人だ」
「そっ、そうですかい…」
亜簾の背後で、若葉は俯いていた。
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何か主のイメージが…((
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Ria。(プロフ) - 初めて見たのですが、、ッ好きすぎます。尊すぎます。こんな尊い小説があってもよろしいのでしょうか。ええ、もちろんあってよろしいです。この素晴らしい小説に出会えて良かったです！！ (2022年4月29日 18時) (
レス) @page46 id: 6d33a476b4 (このIDを非表示/違反報告)
大手裏剣(プロフ) - 藤雲ルアリナさん» あああ！お喜ばれる小説を書けていたようでとても嬉しいです！やる気でますね……頑張りますね！ (2020年4月8日 15時) (レス) id: fe109e5f3f (このIDを非表示/違反報告)
藤雲ルアリナ - 世界観、空気、文体、ストーリー、もう何もかも好みです！毎回更新楽しみにしてます！ (2020年4月8日 0時) (レス) id: 3165ea2c89 (このIDを非表示/違反報告)
大手裏剣(プロフ) - 氷浦メグさん» ひえぇっありがとうございます泣 これからも暇潰しにでも覗きに来てください… (2020年3月13日 17時) (レス) id: 54569fedb3 (このIDを非表示/違反報告)
氷浦メグ(プロフ) - 初見です。尊いですありがとうございます！ (2020年3月13日 13時) (レス) id: 3357bae399 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：愛之助
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/oh19years/
作成日時：2019年2月16日 22時
