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着替え終わって、車の鍵を片手にリビングに戻って来る彼を見て、寂しいような 何とも言えない気持ちになってしまう。


空いた右手を差し出すので、飲みかけのカップを渡すと智くんが1口、2口とコーヒーを飲んでいく。


もうすぐ言われてしまう、1番聴きたくない 言葉


「ありがと。 じゃ、行くわ」


『うん、気を付けてね。』


この瞬間が 1番嫌い。


行かないでと その背中に 腕に 縋ってしまいそう



恋人同士なのに、どうして会いたい時に 会えないんだろうね、わたし達。

この特殊な世界で お互いに仕事をしていなければ
こんな思いをせずに済んだかもしれない。


でも、この世界でお互い 仕事をしていなければ

わたし達 出逢う事も 恋に落ちる事もなかったね


「時間 空いたら 連絡する。」


『うん、わたしも 時間出来たら 電話するね。』


話しながら歩を進めると あっという間に玄関に着いてしまう。


「怜理、ちゃんと鍵かけろよ。」

『うん、わかった。 …智くん!』



玄関の扉に手を掛けた彼を 名前を呼んで 思わず引き止めてしまう



離れたくない


困らせるだけって頭では分かってるけど


『……』


泣きそうになる わたしを見て、智くんは困ったよう微笑んでくれる。


「怜理……っ」


わたしの手を引いて 短いキスを二度繰り返す。


まるで大丈夫だよと言うように、ゆっくりと数度 目を見て頷いた後、智くんは出て行った。




『大丈夫、大丈夫…』

自分を励ますように、言葉を繰り返した。




わたしは何て弱いんだろう


こんなに愛されていても 不安になってしまう


愛されていると 感じれば 感じる分だけ


失った時の恐怖が大きくなる


彼と恋に落ちるまで、次の約束がない事が

こんなに怖いなんて思わなかった


どうか


どうか


今のキスが 最後になりませんようにー

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設定タグ:山下智久 , 恋人 , 夫婦   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:water lily | 作成日時:2017年11月12日 23時

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