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ページ5

いつも冷静で何を考えているか分からない

彼の考えが読めた事など一度もない


それは、つまり互いの心が通じた事がないという事


そんな2人が夫婦になって幸せになれるとは到底思えない



「結婚するなら愛のために、

俺も同じ意見だよ、A、だから君を選んだ


頑固な君はどうしたら信じてくれるのかな」



視線を向けると、ヴィンセントの美しい微笑みが目に映る


騙されてはいけない、考えるのよ

この婚約を白紙に戻す方法を考えなくては――



2人の間に見えないチェス盤が存在するかのような圧迫感、

駒を動かす一手を誤まれば、そのたった一手で自分は全てを失うという緊張感、


―自分の手の中にある駒は何か?


ファントムハイヴ伯爵家、

ヴィンセント、

ウェストン校、


そう、ウェストン校


たしかウェストン校には伝統的な寮対抗のクリケットゲームがある、

ヴィンセントがいる紺碧の梟寮は開校以来、一度も優勝したことがない



わたしが彼に確実に勝てる賭けはこれしかない



『では、こうしましょう』

「?」

『6月4日、ウェストン校で行われるクリケット大会であなたの青寮(ブルーハウス)が優勝すれば、この婚約についてはあなたの意見に全て従う』

「…全て?」

『そう、

結婚するか、破棄するか、全てをあなたの決断に委ねるわ』


「面白い賭けだ、青寮(ブルーハウス)は優勝経験がない、痛い所を突くね。


青寮(ブルーハウス)が勝てば奇跡だね」


わたしにはクリケットの試合をどうする事もできない、

ヴィンセント次第で勝つ可能性もあるけれど、入学してから一度も優勝していないのだから、根本的に勝つのは無理な寮だと考えるべき


つまり、十中八九、この賭けにわたしは勝てる


『…諦める?』


クスッ
「まさか、何もせずに負けるなんて性分じゃないよ

そうだな、勝った時の条件を変えよう」

『えっ?』


「君が勝てば君の言う通りにしよう、Aが望めばこの婚約を白紙に戻すよ。

俺が勝ったら、


俺がきみを愛してるという事を信じてもらおう」


『……いいわ、

そんな簡単に奇跡は起こせない』


「1ヶ月後を楽しみにしてるよ、前夜祭で会おう」

『…1ヶ月後に』


パタン

Aが去った後の温室でヴィンセントは小さく溜め息をつく

「彼女だけは思い通りにいった試しがないな」

側に立つ執事が紅茶を給仕しながら若い当主に言う

「ファントムハイヴ家の当主たる者、奇跡ぐらい起こせずしてどうします?」

その当主、奪取→←・



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作者名:water lily | 作成日時:2019年1月20日 23時

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