悪の華【黒執事】 (ページ29)

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だから、ロンドンにある美術店に手紙を書き送り３つの薔薇のありかを探った

「残り３つの内２つを探すのにもうしばらく時間が掛かるかと思ったが、まさか1日で２つを壊せると思ってなかったから幸運だったよ」

ヴィンセントは視線を男からタナカへと移す

タナカ「ファントムハイブ家の執事たる者、探し物ぐらい1日で済ませられずどうします？」

「クスッ君が他の２つに行ったらどうしようかと思ったけどね

ここに来てくれて助かったよ」

ゆっくりとヴィンセントは飾っている石膏の薔薇に近づき、手に取るとそれを思いっきり床に叩きつける

ジャラッ

「これが〈双子の涙〉か」

「それは俺が盗んだんだ！俺に寄越せ！！」

「盗んだんだろ？

元の持ち主は大英帝国、うちの女王陛下だ」

冷たく見下ろす瞳にはオーラがあり、反論できず、
ツゥーと冷や汗が伝う

「これで女王(彼女)の憂いは晴れた

じきにロンドン警視庁(ヤード)が来る、花は彼らに持たせよう

タナカ、後は頼んだよ」

タナカ「承知致しました」

ヤードへの対応はタナカに任せ、妻の待つ寝室へと向かう

ここで女王の番犬(自分)がカタをつけても良かったのだが、そうすると1年前から犯人を追っていた警察の立場がなくなる

「何事も程々にしないとね」

捜査情報が流れて来ないと、それはそれで手間が増えて面倒なのだ

ガチャッ

『ヴィンセント？』

「ごめん、起こしたね」

ベッドの端に浅く腰を掛けた

完全には覚醒していないのか、おっとりとした表情でAが両手を伸ばしてくる

その仕草が可愛らしい

クスッ

大人しく体を屈めてやると、ゆっくりと髪を撫でられる

「そういう事をするから襲いたくなるんだけどな」

『うん？』

「ここで襲うと起きるのが遅くなって、また朝から君は怒るくせに」

A本人は起き抜けで言われている事が分かっていないのか、ヴィンセントを見て嬉しそうに微笑んでいる

「君が悪いんだ、A」

『んっ、ふぅ、っん』

抵抗を許さないように妻の唇を塞いで、そに吐息さえも自分のものにするかのように

酸素を求めて開いた唇の隙間に舌を差し入れ口内を犯していく

クチュピチャ、チュ

Aの熱に溺れていく中でヴィンセントはふと思う

今朝話していた彼女に推理は

近からず、遠からずだった

「やはり閉じ込めた方が良いのかな」

夫がそんな事を考えているとは知らずに、Aは快楽に溺れ始めていた