Will you Marry me? 4th season (ページ37)

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愛しい存在ページ37

「子どもができると人生変わるよ」と出産前から周囲の人達から言われていた。

その頃は何が変わるんだろう？と頭の中で考えてみるけど、何がと具体的には思い浮かばなかったのを覚えてる

和くんもわたしも仕事は変えられないし、この不規則な仕事に合わせた不規則な生活が自分たちにとっては＜規則的な生活＞になっていた

でも、今ならはっきりと言われた言葉の意味がわかる

『子どもができたら、人生が変わる』

本当にその通りだと思う

今までだって精一杯生きてきたし、価値のある物を見てきたと思う

それでも、やっぱり親になってから見る世界は全く違って見えて

退院して我が家に帰って来た時も、今までは『まぁいいか』と気にもしなかったような事が気になり始めた

小さな段差を見つけては『一花ちゃんを抱っこしてる時に躓きそうだな』と思って場所を変えたりとか小さな事にも気を使うようになった

そして何より、同じ景色を見ているはずなのに、

世界が笑いかけているような、優しい気持ちで日々を過ごすようになった

結婚しても変わらなかった和くんもそれは同じだったみたいで

あれだけ言っても出しっ放しにしていたゲーム機を遊び終わったら、その都度片付けてくれるようになって、「一花に壊されたら困るでしょ」と言ってたけど、本当は一花が怪我をしないように守ってくれてるんだと思う

ゲームに関しては譲ってくれない和くんを変えるなんて、子どもは本当にすごいなぁと実感した

『きっとパパは一花ちゃんにメロメロなんだろうね、

秘訣は何かな？ママに教えてくれる？』

ソファに座り、腕の中の一花ちゃんに話しかける

話しかけられた本人は眠いのか、小さなお口を目一杯開けて、小さなあくびをしただけ

そんな小さな仕草を見せてくれるだけでも可愛くて、わたしを笑顔にしてくれる

「もう眠いんだからママ放っといてよーって思われてるよ、A」

キッチンでコーヒーを飲んでいる和くんが悪戯っぽく呟く

『そんな事思ってないよねぇ？一花ちゃん』

「夜中は寝てって言ってたくせに」

『……だって夜はママも寝たいんだもん』

「今頃調子よく話しかけて来ないでよー」

『パパちょっと意地悪だねー』

「そんな事ないよね？一花の気持ち代弁してんだから」

『一花ちゃん、パパがママに意地悪するー』

「ごめんって、ちょっと言っただけじゃん」

和くんがわたしの隣に腰掛ける