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和くんの手が優しく涙を拭っていく
「よいしょっと」
2人の空いたスペースを埋めるように和くんが寄って来る
わたしの背中に腕を回して、ゆっくりと和くんの手が背中を上下に摩って落ち着かせてくれる
『…っ、ごめんね』
「まぁ、紛らわしい行動とった俺にも責任はあるから」
『なんで帰って来るの遅くなってたの？』
「男はさ、つわりもないし、お腹が出てくるわけでもない
自分の子どもがここで成長してるんだって目には見えてても、実感は薄いんですよ」
摩っていた手をお腹に移して、同じようにゆっくりと撫でていく
「同じような経験した人なら、妊婦さんがどうして欲しいかとか、生まれたら何すればいいかとか教えてもらえるかなと思って相談してたら、
何ていうか、飲みながら話そうみないな流れになって。
それで帰るの遅くなってた、ごめん」
和くんは友だちって言うと同年代よりも年上の先輩方が多い
その先輩たちから少しでも子育ての話を聞いたり、妊婦への接し方を聞いていてくれたんだと話してくれた
『ううん、気付かなくてごめんね』
「言わなかったんだから、俺も悪いよ」
『……外に出掛けてもいいって言うのは？』
「あー、あれはさ
この子が生まれたら、俺もできる限りは手伝おうと思ってるけど、ライブとかロケとかで世で言うイクメンみたいには手伝えないと思うわけ
その分の負担はどうしたってAにいくし、そう考えるとAが自分のために使える時間はこいつが生まれてくるまでの間って事でしょ？
生まれたらしばらくは自分の時間なんて作れないんだから、あと数ヶ月だけど、今の内に遊んどいてもらいたいなっていう俺の思いやり？」
『…分かりづらいよ』
「まあ、遠回しに言い過ぎた感じはあるけど、言った時にはAの頭ん中は俺が浮気してるかもでいっぱいだったから、
余計に伝わんなかったのかな」
『ありがと、和くん』
「いいえ、妊娠中のストレスは良くないって言われたばっかなのに、もう俺がストレス掛けちゃったなー」
『大丈夫』
「ほんと？ なら良いんだけど
何かしたい事とかある？」
妊娠中にわたしが楽しめるようにと考えてくれた和くんの考えはとても有り難かった
『何だろう…ディズニー行きたい』
「IMALUちゃんと行ってくる？」
『うん』
「いいよ、行っておいで
A？ 雑誌にはああ書いてあったけど、うちは大丈夫だから」
『うん、ありがとう、パパ？』
「どういたしまして、ママ？」
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作者名：water lily
| 作成日時：2018年12月31日 15時
