Will you Marry me? 4th season (ページ1)

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家族というものページ1

結婚した女性が周囲から必ず言われる言葉―「子ども作らないの？」

不躾な質問をしてくる場面を幼い頃から何度も目の当たりにしてきたから、別に自分が言われたからと言って気に留める事はなかった

結婚に付随してくる言葉ぐらいにしか考えてなかったけれど、自分の気持ちの持ち方ひとつでこんなにイライラするものなんだと身に染みて実感した

梨園に嫁いだからには男児を産むのは嫁の義務

今の時代に女性蔑視で訴えられるんじゃないかと思うような事を地で行く世界、

華やかな部分と同じ、いや、それ以上にドロドロとした汚い部分も見てきたからこそ、歌舞伎役者というだけで、わたしの中では恋愛対象から外れてきた

和くんは「子どもは苦手」とテレビでよく言ってるし、実際に家でも「子どもって何考えてるか分かんねえ」と口にするぐらい

得意か苦手かで聞かれれば「苦手」と即答できるぐらいには苦手なんだと思う

でも、「自分の子なら可愛いんだと思うよ」と隣にいたわたしにフォローをしていたのは結婚当初のことで3年程前の話になる

わたしが言われているのと同じぐらいきっと和くんも外で「子どもまだなの？」って言われてるんだと思うと申し訳なさで一杯になる時も数えられないくらいあった

結婚したんだから子どもはいつ出来ても構わない

ふつうの夫婦なら、何も気にせずにいられる事でもわたし達の場合はそうはいかない

妊娠発表のタイミングや方法を誤れば、和くんが出演するドラマの視聴率やライブの動員数にも影響してしまうだろうし、

何よりわたしの仕事の問題が大きかった

結婚した頃は有り難い事に2年先までスケジュールが埋まっていて、2年経った頃には次の2年のスケジュールが決まっていて

あえて子どもが出来ないようにしていた

和くんのいない1人ぼっちのリビングで経験した事のない現実に直面している

〈役者は何があっても舞台に穴を開けてはいけない〉

生前の父の言葉が脳裏に過ぎる

その言葉の重みは痛いほど理解しているし、実際に父が亡くなった翌日でさえ、わたしも2人の兄も舞台に立った

既に決まっている仕事は大丈夫か、

いくつかの作品は申し訳ないけど辞退しなきゃいけないなとか、

自分が望んだはずの未来なのに、女優としての自分のことばかり考えてしまって、

こんなわたしが母親になって良いのか不安に押し潰されそうだった