元ブラック本丸の幼女【刀剣乱舞】

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その日の晩、こんのすけは本殿の刀剣達が寝静まった時に広間を訪れた。


こん「……ここにおられましたか」


中に入るなりそう告げ、そこにいたのは座布団の上に座りそして茶をすする三日月姿があった。


三日「して、話とはなんだ？」

こん「主様です。伝えそびれた事がございまして」


こんのすけはある程度三日月に近寄ると、姿勢をよくして座る。
三日月は｢そうか｣と言い、一口茶を飲むと湯呑みをちゃぶ台の上に置きこんのすけに目を向けた。

暗い部屋できらりと光る三日月の美しい瞳に浮かぶ月を見ながら、こんのすけは口を開いた。


こん「主様は、元から三日月殿達に何をされようと、例え殺されようと受け入れるつもりでした」

三日「…幼子、がか？」

こん「はい。あの方はわかっておられました。三日月殿達が自身を狙っておられる事全てを……それを知った上で、主様は呪符を仕掛けられた事を知りながら過ごしていました。

そして、主様はこうも言っておりました。これは、自分の母親が原因で起きた事である為、恨みも怒りもしない。ただ、謝りたい、償いたい…と」


三日月は何も言わずに、湯呑みを持つとまた一口茶を飲み……そのまま全てを飲み干した。

そして静かに湯呑みを置くと、美しい瞳が揺れた。


三日「……どうやら、俺は…俺達は幼子を敵視し警戒しすぎたみたいだな……」


三日月は初めて、悲しそうな微笑みを見せた。
こんのすけは｢わたくしは何も見てませんから｣と、三日月から目を逸らす。


三日「…幼子は、俺が思うよりもずっと……」

こん「はい、優しく強い方ですよ。ですが、弱いです……どうか、主様を支え見守って下さい。脆く、いつ崩れるか分からない場に主様は立っております。

主様自身も、壊れやすいです。なので、よろしくお願い致しますね」

三日「……そうだな」


こんのすけは最後に三日月に頭を下げると、広間から出ていく。

三日月も暫く経ったあと広間から出ると、縁側に座り雲に覆われる月を眺めた。




そして、離では障子窓の隙間から入る月明かりに照らされる蹲り隅で座る審神者の姿があった。
薄らと瞳を開くと、小さな口を開き何か呟くと瞳から一筋の涙を零しまた眠りに着いた。



『…だれ………こ…して』



太鼓「……それは、聞けないな。
なぁ……喜枝、見てるなら…手助けしてくれよ」


微かに聞き取れた太鼓鐘は、いるかも分からない祖母に願う。

離に差し込む月明かりが、微かに強くなった気がした。

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