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「いらっしゃいませー」
書店ならではの静かな挨拶に、いつもはあまり緊張しないんだけど、今日は心臓バクバクだった。
そっとレジや店内を見回してみるけど、芹澤さんの姿はない。
いつもだったら少し残念な気分になるんだけど、今日はありがたかった。
(よかったー‥‥)
「参考書ってあっちだよな。」
荒垣君はズンズンと参考書コーナーに進んでいった。
私がしばらくして追いつくと、荒垣君はもう参考書コーナーについていて、参考書をパラパラめくっていた。
「‥‥世界史だっけ。日本史は大丈夫なの?」
「俺、世界史メッチャ嫌いなんだけど、日本史大好きなんだよw」
なるほど。
「じゃあ‥‥これがいいと思う。世界史を重点的にまとめてあるから。日本史が得意なら、日本史はいらないでしょ?あと、ここら辺とか。」
私が参考書を手に取りながら説明しているときも、荒垣君は一生懸命聞いてくれていた。
そして、説明が終わると、
「なるほどな!ありがと!参考になったよ。」
と感謝してくれた。
‥‥本当にいい人なんだな。
「よし、これにしよ。」
手に取ったのは、私が最初に手に取った参考書。
「あ、そういえばさ、A、敬語なくなったな。」
「‥‥あ、」
無意識だったぁ!
「あ、ごめんなさい。」
「いやいや、謝らなくていいってw 逆に敬語無くして欲しいし。」
‥‥いい人すぎる‥‥
「じゃ、早速会計に‥‥」
そう言ってリュックから財布を取り出した。
「えーっと‥‥あ!」
荒垣君は突然、大声を上げた。
周りにいた人も数名振り向いた。
「ど、どうしたの?」
「割引券忘れた‥‥」
え、それは可哀想‥‥
「‥‥と思ったらあったわ。」
と、すんなり取り出した。
「‥‥クスッ」
さっきの慌てた様子からの変わりようがあまりにもすごくて、少し笑った。
「‥‥あって良かったね」
笑った顔のまま、荒垣君に言った。
すると、何故か荒垣君は固まっていたんだ。
「どうかした?」
私が問いかけると、荒垣君はハッとして、
「な、何でもない‥‥」
と、レジに向かった。
「‥‥やべぇ///」
そんなことを呟いたなんて、知るわけもなかった。
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那星月佳(プロフ) - みなさん» はい、必ず見ますね!楽しみです! (2019年3月18日 21時) (レス) id: 25acefb684 (このIDを非表示/違反報告)
みな(プロフ) - 那星月佳さん» ありがとうございます!続編も見て頂けると嬉しいです! (2019年3月18日 20時) (レス) id: 160134a9e7 (このIDを非表示/違反報告)
那星月佳(プロフ) - 受験お疲れ様でした。続編へも続くのはとても嬉しいです。今後も応援してます。 (2019年3月18日 19時) (レス) id: 25acefb684 (このIDを非表示/違反報告)
ミナ @メイン(プロフ) - まぃりぃさん» そうなんですか!お互い頑張りましょうね! (2018年8月24日 12時) (レス) id: dbbaa59aee (このIDを非表示/違反報告)
まぃりぃ - お知らせ見ました!実は私もなんです…。頑張ってください!!応援してます♪ (2018年8月23日 23時) (レス) id: 6b8bf83b3b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ミナ x他1人 | 作成日時:2018年4月5日 15時