さよならまたね ページ6
廊下から苛ついたような、何かに追われて焦っているようなそんな足音が聞こえる。それから直ぐに執務室の扉が音を立てて開いた。
ずかずかと無遠慮に入室してきた太宰にらしくないなと思う。それだけ、焦っているのだろう。
私はいつもの立ち位置から二人のやり取りに耳を傾けていた。対等に渡り合っていた二人の舌戦はひとつの封筒によって、いとも簡単に崩される。
「その封筒は_____」
太宰の声は震えていなかったものの、蒼白になった顔が動揺をありありと示している。太宰が縋るように私を見た。
何も言わずに微笑みを返すと太宰は泣きそうな顔をする。見たことの無い表情だった。
太宰がくるりと踵を返し、背中を向ける。そして直ぐに振り返った。彼は静かな目で自分に向けられた銃口を見ている。
織田作之助が保護している孤児たちのことを林太郎さんにリークしたのは私だった。それを知ったら太宰は私を軽蔑するだろうか。なんだかそれは、とても寂しい気がする。
反りが合わないと思う大嫌いな相手なのに、いざ別れとなると寂しいものらしい。
「またね、
私と太宰は道を違えた。別れの言葉などあるはずもない。
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ツッキー本体は眼鏡(プロフ) - 何度見ても面白い作品です。とても続きが気になります。 (2020年9月24日 11時) (レス) id: ada14fc3d5 (このIDを非表示/違反報告)
ニコ - 面白かったです。1年後を楽しみにしてます。 (2020年4月8日 21時) (レス) id: 40dba85962 (このIDを非表示/違反報告)
猫ずきん(プロフ) - この作品本当に好きです!更新ありがとうございます!!次も気長に待ちます!! (2020年3月16日 19時) (レス) id: 843a33d8b4 (このIDを非表示/違反報告)
ツッキー本体は眼鏡(プロフ) - 続き待ってました!嬉しい! (2019年7月19日 0時) (レス) id: ada14fc3d5 (このIDを非表示/違反報告)
伊月(プロフ) - ものすごく面白いです!!続きが待ち遠しい…(`・ω・´) (2019年6月10日 20時) (レス) id: 97ec670de3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夜幸 | 作成日時:2019年2月16日 20時