スーパーキレーなパラボラシュート II 【SLAM DUNK】 (ページ11)

今日:25 hit、昨日:3 hit、合計:35,204 hit

61 ページ11

後半が始まってから、私は赤木先輩の様子が心配だった。

よほどのことがないと彩子があんなに慌てることは無いから余計に私も焦ってしまっていた。

しかし、後半開始直後に赤木先輩は怪我なんてまるで無視をしたゴールを決めた。

けれどその表情はどこか苦しそうで、怪我を庇っていることなんて一目瞭然だった。

『……安西先生。』

先生はきっと、私の言いたいことなんてお見通しだろう。

赤木先輩が足を庇っていること、今はアドレナリンが出ているからあんだけ動けているだけのこと、気迫が肉体を凌駕しているなんて言ったらスポ根漫画のように聞こえるけど、三井さんの時と同じく、この先に響く可能性がある。

歩けなくなってもいい。

彩子曰く、治療室で赤木先輩はそんな事を言っていたらしい。

安西「Aさんの言いたいことは分かっています。

……けどね、赤木君は引っ込めませんよ。」

『なんで、』

安西先生が理由を告げようと口を開いたその時、体育館は大きな歓声に包まれた。

コートでは赤木先輩がファールを取られている。

安西「Aさん、赤木君やみんなは君が思っている程弱くないですよ」

『……はい。』

寂しかった、私がいなかった空白の時間でまるで見違えるようになったとでも言うんだろうか。

私はそうやって言って後悔する人を沢山見ていた。
先生には負けるだろうけど、生徒の中では一番そういう緊迫したことに触れてきていると思っていたから、今までの事を否定されたようにも感じてしまった。

コートの上では、牧さんが本調子になってきたのかはたまた本気を出し始めたのか。
どちらにせよ湘北と海南の点差がじわじわと、それでいて確実に開いてきた。

ﾊﾟｽﾝ

『ぁ……』

昨日も見た神くんのシュート、敵ながらあっぱれ

『(今日も綺麗だな、昨日もあの練習の後に500本打ったのかな…)』

海南でのゲームで何となく想像していた通り中からは牧さんが、そして中を固めすぎると今度は外から神くんが得点を奪うという形になっていた。

すっかり神くんの綺麗なフォームとそこから繰り出されるシュートの軌道に目を奪われていて、さっきの流川の豪快なダンクなんかは忘れていた。

しかし試合はそうも言ってられなくて、試合時間残り10分ほどとなり湘北63-73海南と点差を広げられていた。

ﾋﾟﾋﾟｰｰｰｰ!!!

「湘北、タイムアウト！！」