46. 過去編回想9: 武士 ページ10
あれから数年が経ち、
私達の背丈も前よりも高くなった。
第二次攘夷戦争の始まり、
そこからは私達にとっての悪夢の始まりでもある。
………
「…駄目だ。お前を連れて行けねぇ。」
『…っ!どうしてよ、銀時…!!私も同じ稽古や鍛錬をして来た。晋助にも小太郎にも私の剣筋も良いし、強くなってるって…!!』
戦場に向かう日の前の事。
先生の弟子たちや天人を嫌う者が集まり、また新たな戦争を宣言し、皆で戦うと決めた筈だった。
「この際はっきり言ってやろうか?足手まといだ。」
その言葉に誰もが銀時に目線がいった。
彼はお構い無しに話を続ける。
「戦は俺等が受けた様な稽古じゃねぇんだ。
いくらお前でも天人を斬れる様な力はねぇ筈だ。それに例え俺達でも庇いきれねぇ。
いい加減、自覚しろ。お前は…』
『……何それ…。私が女だから何?男だから強いの?』
「…聞こえなかったか?だったらもう一度っ…」
「良さぬか二人共!こんな大事な時に揉め事なんざ…!!」
「…頭、冷やしてくる。」
『…私も。』
あのバカ天パ…
晋助も小太郎も何も言ってくれなかった。
と彼等を置いて外に出た。
………
光徳の様子でも見ようと思い向かった先は神社。
彼の部屋を覗けば、私は思いもよらないものを目にした。
「……光徳…?!何これ…?まさか…」
「…、姉上…!俺は謝りません。自分で決意したから。」
そこには刀と鋼の鎧。これだけでも察してしまう。
『…駄目!何言ってるの!戦争に行くなんて。』
光徳は歳を取っていくに連れ身体弱っている。
そんな事をしたら…
すると光徳は私の肩を掴み、
「武士たるもの、これは男の務め。
姉上、今度は俺が義史兄さんの変わりに必ず姉上も爺ちゃんも守る。
それに姉上の思い人も必ず連れ戻して見せます。」
真っ直ぐな瞳をした光徳はまるで
先程の銀時と同じような澄んだ武士の目をしていた。
『……皆して、…どうしてよ…。』
いつの間にかたくましくなったのだろう。
私の弟も私の友達も。
自分でも分かっている。
この戦争で私の様な女が出る幕が無いと。
私だって先生の弟子。
それに大切な友を、家族を笑って送り出せるような神経なんて持ってない。
どうして私は女なんだろう。
置いていかれ、大切な人の帰りを待つのが女の使命なのか。
何も出来ない私自身を恨みながら、静かに涙が溢れた。
47. 過去編回想10: 覚悟→←45. 過去編回想8: 変化
254人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「銀魂」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
綾葉メグ(プロフ) - ミイラさん» 読んでくれありがとうございます!そう言ってもらえて書いて良かったなと思います! (2020年4月1日 1時) (レス) id: 937ad8ad2e (このIDを非表示/違反報告)
ミイラ(プロフ) - とっっても面白いです! (2020年3月28日 2時) (レス) id: 8b1d0909e8 (このIDを非表示/違反報告)
綾葉メグ(プロフ) - 読んで下さりありがとうございます!そう言ってくれると心の励みなります! (2019年12月12日 23時) (レス) id: 2cd78e4a1d (このIDを非表示/違反報告)
梨央(プロフ) - とても面白いです!これからも頑張ってください!! (2019年12月12日 22時) (レス) id: 5659f84446 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:綾葉メグ | 作成日時:2019年11月25日 18時