44. 過去編回想7: 強く ページ8
手を引かれてやって来たのは、月が綺麗に見える河原の辺り。
先生は隣に居る私を見ずに話を進めた。
「話は聞きましたよ。残念です、惜しい人を亡くしました。義史さんには私達も良くしてもらって居たので。」
義史兄さんの事を思い出すと何故か、足がすくんで一歩も動けない。
認めたくも無かった。兄さんはもうこの世には居ないって事を。
……ギュッ
『……せん…せ…?』
「…A、こういう時こそ、私達に頼って下さい。悲しくて辛い時に泣いたって良いんですよ。」
先生は私を優しく包み込むように抱きしめてくれた。すると我慢していた涙が一気にに溢れ出してくる。
2人が泣いているからこそ、私は泣かないって決めたのに。
『……先生…兄さんは……帰って来るって約束したのにっ…!』
泣きじゃくる私の背中を優しく擦る先生。
思っていた事を全部吐き出した。
初めて大切な人を失う辛さを知った。
………
しばらくして泣き止み、先生は再び私の手を握ってくれた。
「さて、行きましょうか。あの子達が迎えに来てくれましたよ。」
向かいにやって来たのはススキを持った銀時達の姿。
「泣き止んだか?泣き虫ひよこぱっつん。」
「遅えよ、先生。こっちは準備万端と言うのに。おい、ひよこぱっつんも先生にベタベタし過ぎ。」
『…なっ…!ひよこぱっつんじゃない。この天パに低杉!』
「「誰が天パだ/低杉だ!?」」
迎えに来たと思いきや、私の事を罵倒する2人。
「良さぬか三人共。お主ら2人見苦しいぞ、嫉妬なんざ。」
「「誰が嫉妬だ、ヅラ!!」」
「ヅラじゃない、桂だ!!」
殆ど髪型を弄ったあだ名ばかり、先生はそんな光景を目にして微笑む。
「皆さん、Aを苛めるんじゃありませんよ。私は好きですよこの赤毛が。長くなったらもっと可愛くなりますよ。」
『……っ…!!(髪の方の好き…)』
「「「(天然タラシだ…)」」」
「さて、寺小屋に帰りましょう。Aも泊まって行きなさい。今日は皆で月見です。」
小太郎、晋助、先生、私に、銀時。
5人手を繋ぎ合いながら帰る夜道は、
月が私達の歩く道を優しく照らしていた。
「A。大丈夫だ。俺達がいる。」
『……ありがとう…。銀時、皆。』
私には仲間がいるんだ
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綾葉メグ(プロフ) - ミイラさん» 読んでくれありがとうございます!そう言ってもらえて書いて良かったなと思います! (2020年4月1日 1時) (レス) id: 937ad8ad2e (このIDを非表示/違反報告)
ミイラ(プロフ) - とっっても面白いです! (2020年3月28日 2時) (レス) id: 8b1d0909e8 (このIDを非表示/違反報告)
綾葉メグ(プロフ) - 読んで下さりありがとうございます!そう言ってくれると心の励みなります! (2019年12月12日 23時) (レス) id: 2cd78e4a1d (このIDを非表示/違反報告)
梨央(プロフ) - とても面白いです!これからも頑張ってください!! (2019年12月12日 22時) (レス) id: 5659f84446 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:綾葉メグ | 作成日時:2019年11月25日 18時