31. どんなピンチでも ページ39
目を覚まし見えるのは見慣れない天井。
どうやら私は丁寧に布団に寝かされたのだと分かる。
「目、覚めたか。」
起き上がれば、まだ辺りが真っ暗な夜空を窓際で見ながら煙管を吸う晋助の姿が。
煙管の臭いが鼻を突く。
普段ならその人に注意したいのだが、
状況が違う。
彼は昔とは違うそんな雰囲気を出しているからだ。
「……元気でした?見ない内に変わりましたね、晋助。」
「変わった…?……ククッ…俺ァ、変わちゃいねぇさ。昔も今も同じもんしか見えてねェ…。
変わったと言やァ、お前さんが一番変わったんじゃねぇか?」
煙管の灰を捨てたあとゆっくりとこちらに向かう晋助。
ガシッ…!
『……ぐっ……!?』
私の顎を掴み、顔をまじまじ見る晋助。
彼の左目を巻く包帯があの頃の記憶を蘇らせる様に目に映る。
「てめぇ…昔はもっとガサツで、こんな丁寧な口調や偽りの笑みを貼るような女じゃなかったな。」
『あら、成長したって言って欲しいくらいですね。貴方と違って現実を見る事にしたんです。……うぐっ……!!』
怒りを買ってしまったのか、今度は私の首を片腕で締める。
「あいつ等に連れ去られてから、随分洗脳掛かちまったのじゃねぇか?
かつて天人の命を奪って来たお前が、今ではその手で天人を救ってるなんざ笑えるなァ。
てめぇ忘れたのか…?お前の大切なモンを奪われた事を。」
『…忘れてない……。私はただ約束を守っただけだ…。』
「ほォ…、あっちの方の約束を守って、アイツの約束を守れなかった奴が何を抜かしやがる。」
『…っ…!!黙れ…っ…!!』
思い出したくない事を次々と……
彼の腕を振り払い、下を向きながら咳を吐く。
振りほどなかったら、確実に息の根を止められる所だった。
……あの頃とは違う。
『……っ、殺すなら早く殺せば良いものの。
何が目的なの…晋助。』
またも首元に刀を突きつける晋助。
「……俺達の隊に加わって念願の仇討ちを取るか、それともあの小娘と同じ目に合うか。……っ…!」
すると晋助が刀を握ってた方の腕は麻痺するように動かなくなった。効いてきたみたいね…。
とは言っても数分で切れるけど。
『私に触らんといてくれます?油断してはるとまた刺されちまうで。』
「…そうかィ、せいぜいあの牢で枯れるまで朽ちてなァ。」
それだけ残し彼は部屋を出た。
これでいい。これで良かったんだ。
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目覚まし時計の針 - 関西弁の赤髪キャラ…あれ…なんか天国が見えr((( (2022年9月10日 18時) (レス) @page38 id: 0727e3cb02 (このIDを非表示/違反報告)
綾葉メグ(プロフ) - イチゴミルクさん» はじめまして!読んでくれてありがとうございます!長い間ずっと更新していなかったので、待たせてしまった事の申し訳無さと、それでも読んでくれて、応援のメッセージをくれる方が居てくれた嬉しさでいっぱいです。残りの物語を更新出来るよう頑張ります! (2022年7月5日 7時) (レス) id: f190ad2f2f (このIDを非表示/違反報告)
イチゴミルク(プロフ) - 初コメ失礼ッ!最近見始めたばかりなのですが京都弁夢主ちゃん可愛いしかっこいい…!あと,設定見た瞬間に,楠本…あ,私の苗字…え,運命?((()夢主ちゃんお嫁にもろてm((()更新頑張って下さい!応援してますッ (2022年7月3日 21時) (レス) @page3 id: 4b77fe0276 (このIDを非表示/違反報告)
蒼月 - いえいえ!いつも楽しく読ませていただいてます!これからも頑張ってください!! (2019年11月3日 18時) (レス) id: 7a59223088 (このIDを非表示/違反報告)
綾葉メグ(プロフ) - 蒼月さん» コメントありがとうございます!!毎回読んで頂き、こちらとして励みなります! (2019年10月28日 17時) (レス) id: fe3feae032 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:綾葉メグ | 作成日時:2019年10月21日 6時