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白夜叉という者 ページ38

しかし、一騎打ちを申し込んだ側逃げ出すことは決して許されない。武士たるもの自身の発言には命をかけなければいけない。
覚悟を決めた時、一条は弾けたように走り出した。ぴり、と緊張感が走る。
やがて抜かれた刀身が龍祁のなびく髪に触れた。


砂を流れる音がすると共に、互いに背を向け合い重点を低くしたまましゃがみ込む。
彼等はどちらに勝敗がついたのか。いつのまに龍祁は刀を抜いたのか。
固唾を飲み見つめた。

暫時立ち、龍祁は一条を背後に刀を慣れた手つきでしまった。

かちん。
音が鳴った時、一条は倒れこむ。
指先ぴくりとも動かさぬ彼に一人が駆け寄った。



「安心しろ。殺してはいない」
「え……?」龍祁の言葉に皆が目を見開いた。

「この戦に関係のない者を殺すのは愚かだろう。刀に神気を纏わせ心臓を貫かせてもらっただけよ。貫いたといっても、神気を纏わせたため血は出ない。それに、傷もついておらん。仮死状態だ。今は息をしておらんし、心臓も止まっておるがそのうち起きるだろう。
第一に、侍といってむやみやたらに()を抜くのは愚か者のすること。
戦という場で()を向けるのは正しい。
しかしなあ、一騎打ちや喧嘩といった行為で真っ先に()を向け斬りかかるのは間違っている。
本来であれば、峰内といった行為で斬りつけずに相手を負けに持ち込むのだ。それが正しき侍の姿。それが出来てこそ、侍と胸を張っていえる。
一条殿はまだ()に頼っている。まだまだということよ、この小童も」


そう言って、新選組の羽織を拾う彼女の背中は頼もしかった。


彼等は初めて、白夜叉という者を見た気がした。
相手が有名な侍であろうと、一瞬で仮死状態に持ち込む。
最強と言われている能力者であろうと己の()一つで同等にやり合い平然と勝ち上がる。
自身の抜刀姿を誰の目にも納めない。未知数の強さ。
龍祁は侍として皆が誇る姿勢を持っていたのだ。


龍祁()が持つ美しく、そして正しい姿にじゃじゃ馬までもが敬意を示した。

戦後。 ココ&レオン→←白夜叉という者



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味噌田楽(プロフ) - 更新しました。 (2021年6月1日 21時) (レス) id: 9f9b8eea81 (このIDを非表示/違反報告)
味噌田楽(プロフ) - 更新します。 (2021年6月1日 21時) (レス) id: 9f9b8eea81 (このIDを非表示/違反報告)
柊 琥珀(プロフ) - 三ツ星優星さん» 了解しました。 (2021年3月14日 0時) (レス) id: 15069fcb1b (このIDを非表示/違反報告)
三ツ星優星(プロフ) - 柊 琥珀さん» メモ欄のお知らせです。追記も少ししたので閲覧お願いします(。・ω・)ゞ (2021年3月14日 0時) (レス) id: b581edf190 (このIDを非表示/違反報告)
柊 琥珀(プロフ) - 三ツ星優星さん» お知らせってどこのお知らせですか? (2021年3月13日 21時) (レス) id: 15069fcb1b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:参加者様一同 x他6人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ikatomo/  
作成日時:2021年1月24日 0時

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