【募集企画】とある最強の独立大隊。＜本編＞ (ページ19)

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三条宗近の刀ページ19

敵兵の命の火が、ふ、と口で風を吹くかの如くあまりにも簡単に消え去った。

敵兵が倒れる場所には地面に突き刺さる日本刀。其処にいた者は一斉に小首をかしげ日本刀を凝視した。
しかし、其れは敵兵等だけであり軍務省法務部独立大隊ルーヴは面白げに口角を上げる。

「おーお、龍祁。やってくれるなァ。これまた随分派手なご登場だコト」

「ふふ、いかにも龍祁宗近さんらしい。……して、貴方らいつまで敵兵に背を御向けるおつもりで？」

戦場では一秒でさえも命の綱渡りをするような物。シャルアが妖し気に尋ねた時、その場の云十人は彼等の手によって瞬く間に殺害されたのだった。

その刀
三条宗近の手より打たれし
三条派が誇る刀。

龍祁宗近

荒れ狂ふ龍懐かし
鶴丸国永と夫妻刀であり。

龍祁宗近といふ刀は
人々を愛いし
人々を疑ふ

ぶわり。
刀を中心に強風が吹いた。髪や服が乱れる。
一方人々は、不可思議な出来事に逃げることもなく刀を見つめた。

レオンを先頭にルーヴに所属する者等(ら)は武器を降ろし舞い上がる強風と只者ではない気配に口角を薄らと上げる。
レオンが「漸くうちの神様が御登場なさったか」と呟いた。

強風がやんだ時、刀が刺さっていた場所には代わりに美しき女人が立っていた。
龍が描かれる平安装束を着用し、腰には刀を差す。人間離れした、誰もの目を奪う美しい顔立ちに触れてはいけないような幻想的な雰囲気。

可憐で、してどこか艶やかな彼女に人々が見惚れていた時、龍祁は慣れた所作で刀を鞘へとしまった。

かちん、と鍔と鞘がぶつかった時龍祁を囲う敵は全員崩れ落ちた。
血煙が迸り龍祁が羽織る新選組の羽織物に付着する。それでも尚、上品さ等が削がれることはなかった。