ここにいたこと【４８】

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A「あのね…私、病気なんだ…」

優「えっ…」


真実を口にしたAの瞳から

涙の粒がひとつ、ツーッと流れ落ちていった


A「ほんとはっ…私もKのみんなとステージに立ちたかったっ…
　 でもっ…ムリだって」


Aは笑顔のまま頬を濡らし始めた

初めて聞いたAの本音に

私は戸惑った…

Aが辞めたのは…誰のせいでもないの…？


でも、夢をあきらめないといけないほどの病気って…


優「何の病気なの？そんなに悪いの？」


小さく首を横に振って


A「今は悪くはないの。だけどね、急に症状が出ちゃうから」

優「症状…？」

A「そう。レッスンの時さ、脚が動かなくなったり、腕が上がらなくなっちゃってさ」


あのとき…

みんなピリピリしてた時、

私とぶつかったのもそのせいで…？


A「ほんとは、オーディション受ける前からそういうことはたまにあったの。

　 だけど、疲れてるとか、緊張してるとか、

　 そういう理由で体がこわばってるだけだと思ってて…

　 でも、レッスン始まったあたりから、体の一部が言うこと聞かないことが多くなってさ…

　 それも、公演が近づくにつれてひどくなってきて」


次第に震えていくAの声…


A「さすがにおかしいと思って…

　 本番で失敗したくないから原因が知りたいなって思って…

　 病院に行ったら言われたの」


Aはひとつ大きく深呼吸をして

私の瞳を見つめながら言った


A「《パーキンソン病》だって」



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実在する病名を使わせていただきます。
調べながら書きますが、物語に合わせて多少症状が現実と異なる場合があります。
ご了承ください。

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