ここにいたこと【４８】

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家に帰って
いつもは自主練して過ごす夜だけど
今日は明日のために早めにベッドに入った


だけど、明日のことを想うと緊張してどうしても眼が冴えてしまう


明日の初公演、上手くいくのかな・・・

あれ？あそこの振り、どうだったっけ？

自己紹介の順番は・・・MCの話題は・・・


考えれば考えるほど
不安ばかりが募っていく


そんなとき、ふと思い浮かぶのは


『優ちゃん？』
『私でよかったら、話、聞くよ？』


いつも笑顔で優しく接してくれたAの顔で・・・


『優ちゃん、みんなで頑張ろう？18人で、ステージ上がろうよ』


私に《仲間》を教えてくれたあの言葉・・・




「なんで・・・？なんでいないの・・・？」


ぶつけようのない悔しさが
涙となって枕に染みていく


いつも同期の輪の中心にいて
キラキラ輝いてたA。

本当なら明日、隣で踊って歌っていたはずなのに・・・


「18人でって言ったのはAじゃんっ・・・」


誰より仲間を想い、ステージに立つことを夢見ていたA。

だから、いきなり姿を消してしまうなんて思いもしなかった



Aの心を変えてしまったのは何だろう・・・

いつも通りの厳しくも前向きなレッスンを送る中で

ただ変わってしまったのは最近のメンバーの態度。

Aへの冷たい視線や言葉。




じゃあ・・・

Aが辞めちゃったのは私たちのせい…？





そう思うと

鼻の奥がツンとして

目頭が熱くなって

胸の奥がギュッと締め付けられて



「もう会えないのかな…」



ついネガティブになってしまう自分の頭を懸命にふって



「もしかしたら、『やっぱり出たい！』って笑って明日楽屋にいたりして」


そんな前向きなことを考えていたら
いつの間にか夢の中へと落ちていた

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