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「もーAちゃん来ないから心配したでしょ。ほら行くよ」
「え、いや、え、え…??」
二人の間を縫って車から降りてきた須貝さんは軽々と私を脇に抱えると、そのままなんの躊躇いもなく行きと同じレギュラーメンバーが乗る方の車に私を連行した
抵抗空しくポスンッと座席に下ろされ、逃走を試みるも通路を挟んだすぐ隣の座席に福良さんが座っていたので、どう見ても逃げれないなと素直に諦めてシートベルトをつける。なんか、腑に落ちないのは気のせいだろうか
考えても答えが出るわけがないと分かっていながら、意味もなくいつから自分はレギュラーメンバーになっていたのだろうかと考える。勿論、幾ら考えても答えは出なかった
「そんな難しい顔して、今度はどした?」
「ッい、伊沢、さん…」
そんなどうでも良いことを考えていたからだろう。気づけば目の前に今は会いたくないと思っていた人が立っていて、心配そうに顔を覗き込んでくる。確かに、今思い返すと数十秒前にドアを開ける音がしていた
「はぁ、伊沢さん、近いですよ」
「あはは、ごめんって。そんな怖い顔すんなよ川上」
川上さんの声で離れていった背中を見送って、自然と止めてしまっていた息をはぁっと吐き出す
普通に呼吸が出来るようになった筈なのに、何故か息苦しさは残っていて、窓に額を押し付ける。冷たい。苦しい
「隣良い?」
「…ど、どうぞ」
「ありがと」
窓側に座っていた私の隣、つまり通路側の席に川上さんが腰かける。彼が座ってくれたことで、他の方からは私の姿はあまり見えないだろう。幸いなことに、座席も一番後ろだから特に
…伊沢さんの席は、私の前だ。触れようと思えばすぐに触れることのできる距離に居るのに、今の彼はどうしようもなく、遠く感じる
…寝てしまおう。このまま起きていても、辛いだけだ。今日は折角楽しいクイズ大会だったんだ。こんな、うじうじした気持ちのまま今日を終わりたくない。きっと、寝たら少しはスッキリする筈だ
筈なんだ
「…なぁ、薄影」
「?はい」
「………いや、なんでもない」
少しだけ様子が変だった川上さんを最後に、私は視界を閉ざした
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白菜(プロフ) - しぃさん» いえいえ!ご希望に添えたなら良かったです! 今回は話数が限られていたので、初めて直接うらツク内に書かせていただいたので少々展開等が変になっているかもしれませんが、そこも愛嬌ということにしておいてくださると嬉しいです(笑)リクエストありがとうございました (2020年2月2日 0時) (レス) id: f8ddf3423a (このIDを非表示/違反報告)
しぃ(プロフ) - 白菜さん» ごめんなさい!完結後にもかかわらずリクエストしてしまって…でも最高でした!もう推しのにやにや顔を想像して昇天しそうでした← (2020年2月1日 22時) (レス) id: 1457e73937 (このIDを非表示/違反報告)
しぃ(プロフ) - 白菜さん» そうですね。以後気を付けます! (2020年1月27日 22時) (レス) id: 1457e73937 (このIDを非表示/違反報告)
まつりか(プロフ) - 白菜さん» 神ですよー!にしても少し回復したようで良かったです!私含め皆さんが白菜さんの事気にかけていたので、コメントを見てもっともっと元気を出して貰えたらと思います! (2020年1月27日 21時) (レス) id: e802cc95c8 (このIDを非表示/違反報告)
白菜(プロフ) - しぃさん» ありがとうございます!リクエストの方ですが、あと二話ほどなら入るので短くはなりますがなんとか書いてみます!そして細かいかもしれませんが、次回からはお名前をsngwというように伏せていただけると助かります(笑) (2020年1月27日 21時) (レス) id: f8ddf3423a (このIDを非表示/違反報告)
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