14話 息苦しい ページ17
「お疲れさまでしたー!」
「あ、お、おおお疲れさまでしたッ!!」
今回のイベントに携わってくださったスタッフさん達に頭を下げながら、背中に背負った可愛らしさの欠片もないリュックを背負い直す
イベントも無事に終わって、片付けも終わり、車に戻る道中。不思議と車に向かう足取りは、いつもより軽い気がした
ずっと打ち明けたいと思っていたことを、打ち明けれたこと。その事実が意外と私の中で大きかったようで、まるで肩に乗っかっていた岩が砕け散ったかのように、自然と目線は上がっていた
勿論上がったと言ってもまだまだ前を向いてるとは言えないほどだが、それだけでも以前の私と比べれば成長した方だ
「Aちゃん!」
「うぉああっ?!あ、い、伊沢さん…っ!」
「優勝おめでとう!いや〜俺もあと少しだったんだけどな〜」
後ろからやってきた伊沢さんにいつも通り肩を組まれ、突然近くなる距離。多分これが彼の距離感なのだろうが、彼を意識している身からすると大分キツいものがある。主に心臓
バクバクバクと鼓動を速める心臓の音が彼に聞こえないよう右手で胸元を押さえる
そんな私の苦労はいざ知らず、かなりの至近距離で今日のクイズ大会の事を話す彼の顔を覗き見る。思ったより、顔は近くにあって更に鼓動は速まる。やばい、伊沢さんの横顔がかっこよすぎる
紅くなっているであろう頬を見られないように少し顔を背ける。駄目だ、駄目だ。このままじゃ、心臓が持たない
「Aちゃん?」
「ッは、はい!」
「…」
突然無言になる伊沢さん。訪れないだろうと思っていた沈黙が突如訪れて、もしかして顔を背けたことで怒らせてしまったか、と不安が募る
だかしかし、いくらなんでもこんなにも真っ赤な顔で伊沢さんの方を向くのには、些か抵抗があった
どうしよう、どうしようと既にテンパっていた頭が更にテンパる。お、落ち着け、落ち着け私
息を吸って、吐き出す。深呼吸をしてなんとか顔の熱を苦そうとしていると、肩にずっとあった温もりが離れた
無くなった温もりに思わず足を止めて顔を上げると、隣に居た筈の伊沢さんが正面に立っていて、まるで振り返ったときにキュウリが置かれていたときの猫のように後ろに飛び退く
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白菜(プロフ) - しぃさん» いえいえ!ご希望に添えたなら良かったです! 今回は話数が限られていたので、初めて直接うらツク内に書かせていただいたので少々展開等が変になっているかもしれませんが、そこも愛嬌ということにしておいてくださると嬉しいです(笑)リクエストありがとうございました (2020年2月2日 0時) (レス) id: f8ddf3423a (このIDを非表示/違反報告)
しぃ(プロフ) - 白菜さん» ごめんなさい!完結後にもかかわらずリクエストしてしまって…でも最高でした!もう推しのにやにや顔を想像して昇天しそうでした← (2020年2月1日 22時) (レス) id: 1457e73937 (このIDを非表示/違反報告)
しぃ(プロフ) - 白菜さん» そうですね。以後気を付けます! (2020年1月27日 22時) (レス) id: 1457e73937 (このIDを非表示/違反報告)
まつりか(プロフ) - 白菜さん» 神ですよー!にしても少し回復したようで良かったです!私含め皆さんが白菜さんの事気にかけていたので、コメントを見てもっともっと元気を出して貰えたらと思います! (2020年1月27日 21時) (レス) id: e802cc95c8 (このIDを非表示/違反報告)
白菜(プロフ) - しぃさん» ありがとうございます!リクエストの方ですが、あと二話ほどなら入るので短くはなりますがなんとか書いてみます!そして細かいかもしれませんが、次回からはお名前をsngwというように伏せていただけると助かります(笑) (2020年1月27日 21時) (レス) id: f8ddf3423a (このIDを非表示/違反報告)
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