烏よ、飢えを ページ18
──医務室。
菅原｢ほら、氷｣
『ありがとー』
菅原が投げて寄越した氷をAがキャッチする。
そして少し熱を持ち始めているタンコブに押し付けた。
菅原｢もー、お前はすぐ無理するからなぁ｣
『いや、ほんと申し訳ない』
腰に手を当てて菅原が怒ったポーズを取る。
表情を見れば、ポーズだけでなく本気で怒っていることが分かる。
菅原は立ちっぱなしのAを強制的に座らせ、口を開く。
菅原｢……お前だったら、膝をまた悪くしててもきっと言わないんだろうな｣
菅原が顔を俯かせて静かに言う。
その前髪で菅原の表情は隠れて見えない。
Aはその言葉にどう返すべきか迷い、結局何も言わないことに決めた。
ここで菅原の話を遮るべきではないと思ったからだ。
菅原｢お前はいつでもそうだ。何があっても、必ずエースとして居ようとする。それはすごく頼もしくて、嬉しい｣
菅原が顔を上げる。
──悲しい笑顔だった。
笑う以外にどんな顔をすればいいのか、忘れたような笑顔だった。
菅原｢嬉しい、けどさ。──もっと頼ってくれ。もっと我が儘を言ってくれ。言えないほど、俺達は頼りない？｣
まるで飢えた者のように菅原は言った。
実際、エースからの信頼に飢えていたのだろう。
菅原の問い掛けにAは首を横に振った。
『……頼りなくなんかねぇよ。ありがとな、スガ』
Aは慎重に言葉を紡ぎ出し、菅原に向かって笑ってみせた。
笑うAに菅原は何かを言いかけ、グッと押し留まった。
──なぜか、言ってはいけないと感じたのだ。
『なースガ。話変わるんだけどさ』
菅原｢はいはい。何だよ？｣
気まずい空気を気にしてか、Aが急な話題転換を図る。
菅原はAに感謝しつつ、柔らかく次の言葉を促す。
『今、ウチってセッター２人居るだろ？ だったらツーセッターとかどうかなと思うんだけど』
菅原｢んー。２段トスは上手く行くと思うけど、俺のスパイクが……｣
Aの案に、菅原はウーンと首を捻る。
身長が高く、パワーのあるスパイクも打てる影山は良いが、菅原はあまりスパイクが得意ではない。
『あー、なんつーかこう、スパイクの直前で入れ替えてブロックを混乱させる、みたいなさ』
菅原｢……考えとく。入れ替えは良いと思うよ｣
菅原はニカッと笑って医務室を出た。
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紅嵐(プロフ) - 孤爪が狐爪になってますよー。 (2020年5月30日 8時) (
レス) id: 1d90d43033 (このIDを非表示/違反報告)
よもぎ(プロフ) - テトさん» 分かりました！ 頑張って会話、増やして行きます。更新は暇なときは異常に頻度が高いのでご安心を。 (2019年9月9日 7時) (レス) id: 3bd3258fc4 (このIDを非表示/違反報告)
テト - この作品とっても面白くて好きです。更新楽しみにしてます！武田先生と烏養さんとの会話増やして欲しいです！あと、松川さんと花巻さんと会話してほしいです！菅原さん推しです。 (2019年9月8日 23時) (レス) id: eecfed04fa (このIDを非表示/違反報告)
よもぎ(プロフ) - やった、及川さん推しが居ましたー！ 夏葵さん、カミューさん、コメントありがとうございます。 (2019年9月7日 18時) (レス) id: 3bd3258fc4 (このIDを非表示/違反報告)
夏葵 - とても楽しく読ませてもらってます！及川さん推しです！ (2019年9月7日 18時) (レス) id: 668af22414 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：よもぎ餅のわらび | 作成日時：2019年8月24日 17時
