泡が18つ ページ30
あれから数時間。院長さんのご厚意により、雨が上がるまでの間なら気が済むまで居ていいという話になった。
『院長せんせー、これは？』
「この本、随分難しい物だね。これはね＿＿＿＿＿」
今日は、急な雨で患者さんの診察も全て終わった頃だったようで、本に記載されている単語を片っ端から聞いては、書いて。聞いては、書いて。の繰り返しをした。
看護師さんたちは、僕と院長さんを交互に見て笑みを浮かべる。途中で、お腹が空いてきてグーと音が鳴ってしまい恥ずかしさを隠すために俯けば、飲み物やお菓子を看護師さんがご馳走してくれた。
『ご馳走様でした！』
「お行儀良くて偉いわね、ふふ」
「えらいえらい」と頭を優しく撫でてくれる看護師さん。
自然に笑みが溢れて、えへへ と声を漏らせば今度はギューっと抱き締めてくれた。
「Aくんは、どんな医者になりたいんだい？」
院長さんが急な質問を投げてくる。どんな、そんなの決まってる。僕の目標はいつだってそこにある。
『自由で最強な医者！！！』
そう告げれば、そうか。きっとなれるよ。と言って頭を撫でてくれる院長さん。
初めて、知らない誰かに夢を認めて貰えた気がして嬉しくて涙が溢れそうになる。
＿＿＿＿＿＿＿
雨が止み、雷が静まった。
黒い雲に覆われた、爽やかな快晴が顔を出す。
商店街の出店が次々に現れ、瞬く間に人が増える。
そんな中、何人もの男たちが街中を走り回っていた。
「あら、あんなに慌てて誰か探してたりするのかしら」
「迷子とか？」
そう言って、顔を合わせ笑う看護師さん。
院長さんもニコニコ笑顔で、僕を膝の上へ乗せ、手を出すよう言われる。
疑問に思いつつ両手を出せば、本をポンッと置かれる。
『院長せんせー、これは？』
「小さなお医者さんへの、小さなプレゼントだよ」
貰っていいの…？驚きつつ顔を伺うように聞けば、勿論だと返ってくる。少し分厚い医学の本、そこには僕がまだまだ知らない知識が沢山載っている。それが嬉しくて、ギュッと本を抱き締めながら院長さんにハグをする。
『院長せんせー、ありがとう！宝物にする！』
「大袈裟だよ」と言いつつも、照れて頭をポリポリとかく院長さんは、とっても優しくてかっこいいお医者さんだった。看護師さん達も笑って、僕も笑い始める。
「す、すいません！こんくらいのガキ、あ、いや。男の子知りませんか…って、A！？」
ドォンという音と共に扉が開き、僕の名前を呼ぶ。
『シャンクス！？』
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紫苑(プロフ) - 完結おめでとうございます！ (2023年3月5日 14時) (
レス) @page46 id: 44ea1afdd3 (このIDを非表示/違反報告)
穹(プロフ) - 完結おめでとうございます🎉話が更新される度ほんとにワクワクしながら読ませてもらっていました！何回も読ませてもらいます！お疲れ様でした！ (2022年9月16日 21時) (レス) @page45 id: 17ca666086 (このIDを非表示/違反報告)
はくろー(プロフ) - 完結おめでとうございます！嬉しい気持ちではありますが寂しく思います。お疲れさまでした！！ (2022年9月16日 20時) (レス) @page44 id: 284adcf210 (このIDを非表示/違反報告)
ココ丸(プロフ) - とっても素敵な作品です！本当に泣いたり笑ったり楽しませていただきました。だいっすきです！新作等たのしみにしていますね！♪ (2022年9月16日 20時) (レス) id: 17402642c9 (このIDを非表示/違反報告)
はくろー(プロフ) - おもろかったです!更新を楽しみにしてます(*^ ^*)頑張ってください♪ (2022年9月15日 20時) (レス) @page40 id: 284adcf210 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：パチュリー | 作成日時：2022年9月12日 3時
