検索窓
今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:178,924 hit

参拾弍 ページ34

Aは夢を見ていた。
鬼殺隊に入る前の、夢。

両親と、弟と……そして、祖父母と住んでいた。

祖母は早くに亡くなってしまった。祖父はつらそうな顔をしなかったが、心の奥底で悲しんでいる、とAは常に思っていた。






祖父は元鬼殺隊だった。

「いいか、A。これはじいちゃんの刀。日輪刀ってんだ」

「おじいちゃん、この刀お水の色だよ」

「あぁそうだ」

おじいちゃんは水の呼吸の使い手だと今ならわかる。
幼い私にはただ、美しい水の色をした綺麗な刀だと思っていた。

きっと、ずっと、私が越えられないぐらいの鬼を切って、切って、切って

おばあちゃんと出会って

「私は」

私は、そんなおじいちゃんのようになれるのかな。
ちゃんと役目を果たして、好きな人と結ばれるのかな。

……そもそも、役目を果たせるのかな。

今にも泣きそうだ。
鬼殺隊に入る時、母さんには猛反対された。
女性は刀なんか持たずに、大人しく、おしとやかにしていろ、そう言われた。

今では受け入れてもらえているが、その時のことを思い出すと頭が痛い。

「母さん、私は」

気持ちを伝えようとすると頬を叩かれた。
悲しくて、悲しくて。







「A、」

Aは不意に名前を呼ばれた。
いつもの夢ならば、父が母を説得してくれているところだ。

「この、声……」

Aにとって、聞いた事のある声。
名前が思い浮かばない。

「この声……そうだ、私の、私の大切な人」

家族ではない、大切な人。
この声は

「鋼鐵塚さんだ」

Aは目を覚まそうとした。
目を開け閉めし、意識を現実に戻した。

あれ

Aは自分を包んでいる温かさに気がつき、不思議に思った。
太陽の光ではない温かさ。

「……っえ」

Aは、鋼鐵塚に抱きしめられているのであった。

気まぐれ現パロと作者の願い→←参拾壱



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (270 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
468人がお気に入り
設定タグ:鋼鐵塚蛍 , 鬼滅の刃
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

五十土(プロフ) - NANAさん» ありがとうございます!ドキドキできるような感じを目指しているのでとても嬉しいです^ ^頑張ります! (2019年12月14日 13時) (レス) id: a2d3564c6a (このIDを非表示/違反報告)
五十土(プロフ) - 牙さん» 鋼鐵塚さん可愛いですよねわかります!癒されてくれてありがとうございます(?) (2019年12月14日 13時) (レス) id: a2d3564c6a (このIDを非表示/違反報告)
五十土(プロフ) - コハクさん» ありがとうございます!更新しましたのでまたお楽しみください! (2019年12月14日 13時) (レス) id: a2d3564c6a (このIDを非表示/違反報告)
NANA - こんなに素敵な作品に出会ったのが久しぶりすぎて...ドキドキ止まりません...更新頑張ってください!! (2019年11月20日 16時) (レス) id: 714d999e70 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 最近鋼鐵塚さんが可愛く見えて仕方ないので、この小説を読んでると癒されます!更新待ってます!! (2019年11月16日 1時) (レス) id: aea81487e4 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:五十土 | 作成日時:2019年5月2日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。