夜廻６１.踏み込めない物 ページ33
「医務室のベッドを整えておきましたわ！
こちらへ！」
「ありがとう」
自分が出せる最速で、泉は探偵社へ戻った
医務室へAを運ぼうとする彼女をナオミが手助けする
寝かされたAは、ベッドのシーツに負けない程に白い顔をしていた
力なく閉じられた瞳から、憔悴しきっているのが分かる
「外傷はかすり傷ですんでますわね
でも、体力の消耗が激しいみたいですわ」
そこへ、夏が医務室のドアを開け、走り込んで来た
「！‥‥ 夏さん」
「私が連絡しましたの」
夏はベッドに駆け寄ると、ゆらゆらと揺れる
若草色の瞳でAを見た
シーツには透明な雫がぽろぽろと零れる
「Aちゃん、Aちゃん」
「‥‥泉さんが連絡を入れたから、もうすぐ
皆さんが帰ってきますわ
与謝野先生に診てもらいましょう
‥‥‥ポートマフィアが退かせてくれたら、
の話ですけれど」
「それは、大丈夫」
泉がAの顔を覗きこみながら呟いた
「ポートマフィアにも、首領から撤退命令が
あったと‥‥さっき、国木田さんから連絡が
入った」
「！ ‥‥‥どういうつもりか解りませんけど、
今はその方が助かりますわね」
二人には、どうしてポートマフィアの首領が
撤退命令を出したのか解らなかった
ポートマフィアにはカメラが仕掛けられている
普通の構成員ならまだしも、幹部の中原中也なら、泉一人くらい、簡単に倒せたはずなのに
なんらかの理由でカメラが作動しなかった？
もしくは、幹部と互角の力を持つ誰かが、中原の足止めをしていた？
何故。誰が。なんのために。
＿＿まさか、目の前で寝ている少女の所業だと
は、二人とも夢にも思わなかった
渦まく疑問の中に、夏のかすかな泣き声かする
泉は、ナオミのセーラー服の裾を引っ張った
「‥‥二人だけにしよう
その方が、いいと思う」
「え？‥‥まぁ、与謝野先生に診てもらうまで
私達が出きることはもう無いですけど‥‥
ちょっ、引っ張らないでくださいまし！」
泉はナオミをぐいぐいと医務室の外に押しやる
いつも夏の名前を嬉しそうに呼ぶAの顔が脳裏をよぎった
Aとは友達でいたい
何でも話して欲しい。頼って欲しい
それでも、あの二人には、私の知らない絆の様な物がある
私はそれを知らない
自分には踏み込めない物を前に、泉は微かに悔しさの様な物を覚えた
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りんず(プロフ) - ユイさん» ユイ様、コメントありがとうございます！そう言って頂けると嬉しいです！ (2018年4月8日 10時) (
レス) id: f93fc47876 (このIDを非表示/違反報告)
ユイ - おもしろかったです (2018年4月8日 1時) (レス) id: e31a251f71 (このIDを非表示/違反報告)
りんず(プロフ) - ｢名もなき贖罪の銃士の少女｣さん» ありがとうございます！(^-^) (2018年4月4日 20時) (レス) id: f93fc47876 (このIDを非表示/違反報告)
｢名もなき贖罪の銃士の少女｣(プロフ) - 良かったです！これからも頑張って下さい！ (2018年4月4日 20時) (レス) id: bb589a0fac (このIDを非表示/違反報告)
りんず(プロフ) - ｢名もなき贖罪の銃士の少女｣さん» 「名も無き贖罪の銃士の少女」様、イメ画ありがとうございます！とっても嬉しいメッセージまで添えて頂いて、にやけそうになりましたが、自分で足を踏んづけてこらえました((近々載させて頂きます！本当にありがとうございました！ (2018年4月4日 20時) (レス) id: f93fc47876 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りんず
| 作成日時：2018年3月16日 19時
