--64-- ページ19
貴方side
暗い暗い、闇の中
彷徨い続けて、ふらふらと、何も考えないままただ真っ直ぐ歩く
どこに行きたかったのか
どこに戻りたかったのか
もう何も思い出せないでいた俺の腕を、誰かが優しく掴んでさ
『ごめんね、A。迷惑かけて、寂しい思いも沢山させました。』
『謝っても仕方ないけど、ごめんね、A』
そう言って、泣きそうな声で言うから、俺気にしてないし、なんのことかわかんなくて
「大丈夫。怒ってないからw」
って返したら、少し黙って。今度は優しく抱きしめられて
声はいった
『僕が望んだ理想郷は、ただのわがままでできた仮初めの理想郷でした』
『A、どうか、僕のように力を間違って使わないように、お願いするね』
ふっと離れた気配に、無意識に手を伸ばしてしまった俺の手を、彼は掴む
『送っていくね、A。』
『みんなと、ヴェルデと』
『バカな僕を助けてくれてありがとう』
穏やかな声に引っ張られ、暖かな手に掴まれて、自然と涙が溢れでる
「さよならな感じ？」
「帰ってこないし」
「もう、会えない？」
まくし立てた俺の言葉に、彼は、静かに落ち着いた声で答えた
『さよならです』
『でも』
『出会いと別れがあるのが、人生です』
魔眼持ちが人じゃないって誰が決めたの、って、小さい頃、言ったことがある
それにみんなは苦笑いで返したけれど
あんたは決まってこう返した
『人を思いやれない心です』
人間心次第だった、あんたは言った。あんたが俺に心を教えてくれた
220年、一人になって、わからなくなった心を取り戻させてくれたのが
我々軍のみんなだ
だから、俺はみんなのところに帰りたい、帰らないといけないけど
繋いでいる手を離したくないのは、わがまま？
「一緒にかえろ」
『ダメですね』
「かえろ」
『ごめんね』
「離したくない」
『そろそろですよ』
「目覚めたくない」
『呼ばれてますよ』
「失いたく、ない」
止まらない涙と一緒に出た言葉に、あんたは困ったように息を吐いて、言った
それはきっと、彼らもですよ
みんなAのこと呼んでます
Aのこと、失いたくないって思ってる
頭に優しく手が触れて、その手がゆっくり、優しく頭を撫でて
そしてサーティーンは最期にこう言った
A
貴方が人に想われる人に育って本当に良かった
するりと掴んでいた手が離れて、俺の意識は光に包まれた
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 893人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「男主」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆき - めっちゃ良かったです。トリガーメンバー好きすぎます！作者さんありがとう‼ (1月4日 13時) (
レス) @page20 id: 3fb3742587 (このIDを非表示/違反報告)
kami - 和紙さんって鴉羽色とかアスタリスクとかめちゃくちゃ物知りですね？ (2023年3月2日 22時) (レス) @page1 id: d5de597dcb (このIDを非表示/違反報告)
いるか - とっても良かったです！またも泣きました。ありがとうございました。 (2022年8月11日 21時) (レス) @page21 id: ace8bc3786 (このIDを非表示/違反報告)
クロ - 大好きです。このトリガーファミリーってアニメかなんかでしょうか。それとも、空想でしょうか。 (2022年5月5日 19時) (レス) @page21 id: 87f77450ee (このIDを非表示/違反報告)
食害するゾロミール(プロフ) - d!メン好きなんは当たり前何やけど、トリガーメンバーもめっちゃ好きやわ…。d！テーマ曲ってトリガーやったな…天才かな… (2022年3月22日 12時) (レス) @page21 id: 9d739d612f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：地縛霊
| 作者ホームページ：
作成日時：2019年2月15日 1時
