第159話 ページ24
貴方side
この軍はおかしい
三年経ってわかったことはこれぐらいだ。だがこれが真理な気がする
前世とは違う、優しい軍の内情に己が叩き上げてきたものが全てへし折られた
個では無く全を見る前とは違い
個を見て全を見る今
居心地が良すぎて頭がおかしくなりそうなのをグッと堪えて、剣を握る
入軍してちょうど三年
庭の桜が綺麗に咲いているのを眺めるのは三回目になるし、その隣にコイツがいるのは二回目だ
ト:綺麗やな。
貴:はい。
何が悲しくてコイツと並んで桜を見ているのやら
少し距離を開けて立つ俺に、季節外れな真っ赤なマフラーをつけたお前が笑いかけてくる
大嫌いだ、お前なんか
ト:ほんまここは毎年綺麗やな。
とか、心底どうでもいいし
ト:今年もまたよろしくお願いします〜。
とか、最高に願い下げだし
ト:、、、また来年も見よな。
とか、来年なんて俺にはないだろうし
ト:A、いつもありがとぉな。なんかあったらすぐいうんやで、俺の右腕なんやから。
とか、なにを馬鹿なことを言っているのか。誰がお前の右腕になんかなるものか
ふわりと風が吹いた
桜の匂いが辺りいっぱいに広がって、花弁がひらひらと舞うように落ちてくる
掴もうとすればさらさらと砂のように指の隙間を縫って落ちて行ってしまう
前世ではこんなことをしている暇も余裕もなく、いつしか本当の桜の色も忘れていたのに気がついたのはいつだろう
死んでから学ぶものが多かった。俺の世界は、それだけ狭かったのだ
あんなに狭い世界で必死に生きたのに
終わりがあれなんて、情けない
ト:A。
そう、さも当然のように隣で俺の名前を呼ぶ俺を負かしたこの男
貴:はい。
と返事をすれば、何故か安心したように微笑むお前が俺は憎くて堪らない
今のお前は昔のお前にそっくりだ
強く、凛々しく、振るう剣は重たく、研ぎ澄まされたその感覚はきっと昔以上
再戦したい
だらしないお前がいなくなったのなら、俺もまたお前に必要ない
必要ないんだ、もう
ト:部屋戻ろか。
貴:はい。
前を歩くお前の後ろ姿を見慣れた自分がおかしく感じて、笑えてくる
まるでこれが自然の流れだと言うように、お前の後ろを追う俺が敵になったら
お前は一体どんな顔を見せてくれるだろう
全ては計画されていたことだ、と気がついた時。お前はどうしてくれるだろう
今からそれが楽しみでならないな
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くろねこ????(プロフ) - あっ何だ神か…涙がどバッタはなっはっは！！…………ありがとうございます(土下座) (2月20日 21時) (
レス) @page43 id: 265c011d20 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - 最後めっちゃ泣けました。ハピエン最高‼作者さんいい作品の提供ありがとうございます！ (1月3日 11時) (レス) @page43 id: 3fb3742587 (このIDを非表示/違反報告)
ゆん - ワーホリってどういう意味か誰か知ってたりしませんか！！トントンがワーホリってどういう意味なのか誰か教えてくださいませんか！ (12月20日 14時) (レス) @page43 id: c8a05a8ee5 (このIDを非表示/違反報告)
U - やばい、終始涙で文字が読めなかった...他の皆さんの言葉を借りることにもなるけど主人公の心情の動きに私の心もつられてしまう...(ꈨຶꈨຶ) (8月31日 1時) (レス) id: 22e7845591 (このIDを非表示/違反報告)
kami - 今まで見た夢小説の中で唯一ここまで感情移入できる小説 ちょっと泣いた映画とかでもほとんど泣いたことないのに！ (2023年3月2日 17時) (レス) @page27 id: d5de597dcb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：地縛霊
| 作者ホームページ：
作成日時：2020年6月10日 21時
