日常122 悪徳警官の正義 ページ49
「お邪魔します。」
「どうぞ。」
銃兎は前回のように紅茶を持って少女の前に座った。
少女は紅茶を一口飲み銃兎の目をしっかり見た。
「入間さん、聞かせていただけませんか?」
「貴方になら何でもお話いたしましょう。」
「貴方は薬に対して何か思い入れがありますね。」
銃兎は目を見開いた。
しかし、やはりバレていたか。
とも同時に思った。
「えぇ。その通りです。」
実のところ少女は銃兎に対する怒りは何一つなかった。
銃兎と儀晴が計画を立てた場面でもし自分が起きていたら、囮の役を自分から買って出るはずだからだ。絢子だって、どちらかというとそういう人間だ。
ただ、その行為は警察としては正しいものではないとも知っている。
黙って一般人を囮にし、危険にさらしたからだ。
だから少女は信じることにした。
_彼には絶対に何か事情があると。
銃兎が口を開く。
「貴方の予想通りですよ。私は違法な薬が嫌いです。撲滅したいと考えています。」
善人だった両親が中毒者のせいで亡くなってしまったこと。
友が薬を常用したせいで亡くなってしまったこと。
友が道を外れてしまったことも悪いことは百も承知だろう。
しかし、そもそも違法な薬が無ければ…と考えてしまう気持ちもわかる。
銃兎は薬自体を強く恨んだのだ。
彼が悪徳警官になってでも成し遂げたいことは薬の撲滅だったのだ。
「成程。行動の意味が納得できました。」
「…そうですか。」
「私は身内の人にはとことん甘くなってしまう傾向があるんですよ。」
「は、はぁ。」
少女の急な言葉に銃兎は困惑する。
「だから、私は入間さんが悪徳警官であろうが目をつむります。」
銃兎は驚いた。
少女は正義感の塊だという印象があったからだ。
だから、自分の行動は許されないとばかり思っていた。
「入間さんなりの正義感があって一本の芯があるので、私はそれを信じます。」
そう言って少女は笑った。
そして席を立つ。
「さて、入間さん。」
「何でしょう?」
「話も終わったことですし、ゲームしません?」
少女は銃兎の家のゲームが気になっていたらしい。
ラインナップを見るとたくさんのゲームがあるではないか。
少女は有名な真っ赤な帽子のおじさんのカートレースのパッケージを見つけ銃兎に見せる。
「これしましょう!」
_やれやれ、Aさんには叶わないな。
銃兎は頬を流れるものをぬぐい、少女の元へと行くのだった。
「カーチェイスなら負けませんよ?」
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大阪の女 - Stellaが良すぎましたありがとうございました (2023年3月29日 9時) (レス) @page29 id: f50a0ac3bb (このIDを非表示/違反報告)
蒼羽 - 初めまして。こんにちは(^^)芋けんぴさんの作品楽しく見させていただいてます。話の続きも是非読ませていただきたいです。 (2022年10月12日 16時) (レス) @page50 id: 7d7f47de01 (このIDを非表示/違反報告)
蒼羽 - 初めまして。こんにちは(^^) (2022年10月12日 16時) (レス) @page50 id: 7d7f47de01 (このIDを非表示/違反報告)
芋けんぴ(プロフ) - ねむさん» ねむ様、コメント及びご指摘をありがとうございます。完全なる打ち間違えです…。そのせいで寂雷さんが凄くネガティブな人になってました…。現在、訂正させていただいています。意味までご丁寧に教えていただき勉強になりました。改めてありがとうございました。 (2021年7月19日 15時) (レス) id: e6e71631e0 (このIDを非表示/違反報告)
ねむ(プロフ) - 日常107出発のmourningは悲嘆,哀悼 、哀悼の意を表すこと、喪服,喪章という意味(コピペ)ですよ。朝はmorningです。 (2021年7月19日 9時) (レス) id: 2b048548d5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:芋けんぴ | 作成日時:2020年8月3日 20時