日常108 楽園 ページ32
「わぁ〜。」
車内に独歩の声が響く。
窓の向こうには海が広がっていた。
太陽の光が反射して輝く海。
独歩の瞳にも反射して、珍しく目がキラキラと輝いていた。
社畜の独歩にとって海はめったに見られるものではないため、興味津々で海を眺める。
少女はオキナワ出身であるため、海に特に特別感動したりはせず、
_あ、海だ!
という感覚で窓の向こうを眺める。
寂雷と一二三は良く二人で釣りをしているらしく、いつものスポットだったのだろう。
窓にへばりつく二人を微笑ましい気持ちで眺めていた。
「もうすぐ着くよ。」
寂雷の言葉通り、車はすぐに駐車場にたどり着き、到着した。
「ん〜!海だ!」
「海だ!」
車から降りるなり、少女と独歩は「海だー!」と叫んでいる。
独歩もテンションMAXだ。
「ほら、独歩ちん!荷物降ろすの手伝って!」
荷物入れの方から一二三の声がする。
少女と独歩は慌てて荷物の元へと駆け寄った。
「すみません…。」
独歩は申し訳なさそうに一二三から荷物を預かる。
_29歳のおっさんが何海ではしゃいでんだ。
今思い出すと先ほどの行動は恥ずかしかったらしい。
「あ、私も運びますよ!」
「え、えと、A、ちゃんは…これ、お願いできる?か、軽い…から。」
「うわ!本当に軽いですね。もっと持てますよ?」
「いやいやいや!お、女の子にそんな持たせられない…です。」
「…じゃあ、お言葉に甘えますね。」
少女のもっと持てるという提案に、首を必死に振って断る一二三。
まだスムーズとはいかないが、だいぶ少女に成れてきたらしい。
少女は嬉しそうに独歩の元へ走っていった。
「一二三君、凄いじゃないか。」
「…凄いのは俺っちの心を簡単に開いちゃったAちゃんっす。」
「ふふ。確かに、そうなのかもしれないね。」
二人が眺める先には…
「独歩さーん!あげていきましょ!」
「A!俺みたいなおっさんが海ではしゃぐなんて…」
「独歩さん!今日はネガティブ封印しましょ。」
「…はい。」
少女は独歩の両頬をつまみ笑顔で言った。
そんな少女を見ていると、海に来てまで世間体を気にすることが馬鹿らしくなり、独歩はまるで少年のように微笑んだのだった。
「独歩ちんのあんな笑顔見たの、俺っちでも久しぶりっすよ。」
「ふふ。本当に興味深い少女だ。Aさんは。」
さぁ、休日は始まったばかりだ。
今日を楽しもうではないか。
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大阪の女 - Stellaが良すぎましたありがとうございました (2023年3月29日 9時) (レス) @page29 id: f50a0ac3bb (このIDを非表示/違反報告)
蒼羽 - 初めまして。こんにちは(^^)芋けんぴさんの作品楽しく見させていただいてます。話の続きも是非読ませていただきたいです。 (2022年10月12日 16時) (レス) @page50 id: 7d7f47de01 (このIDを非表示/違反報告)
蒼羽 - 初めまして。こんにちは(^^) (2022年10月12日 16時) (レス) @page50 id: 7d7f47de01 (このIDを非表示/違反報告)
芋けんぴ(プロフ) - ねむさん» ねむ様、コメント及びご指摘をありがとうございます。完全なる打ち間違えです…。そのせいで寂雷さんが凄くネガティブな人になってました…。現在、訂正させていただいています。意味までご丁寧に教えていただき勉強になりました。改めてありがとうございました。 (2021年7月19日 15時) (レス) id: e6e71631e0 (このIDを非表示/違反報告)
ねむ(プロフ) - 日常107出発のmourningは悲嘆,哀悼 、哀悼の意を表すこと、喪服,喪章という意味(コピペ)ですよ。朝はmorningです。 (2021年7月19日 9時) (レス) id: 2b048548d5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:芋けんぴ | 作成日時:2020年8月3日 20時