日常55 お疲れ様です ページ21
「お疲れ様。」
控室に二郎と三郎が現れた。
二人ともとても落ち込んでいるのが見てわかる。
少女は二人を抱きしめた。
「Aさん、ごめんなさい。」
「俺ら勝つって言ったのに。」
二人は少女の肩に顔をうずめて震えている。
肩が湿ってきたことから泣いていることがわかった。
「二郎も三郎もさ、油断した？」
「ううん。」「いいえ。」
「相手は自分より格下だと思って力を抜いた？」
「そんなことしてねぇ。」
「全力でした。」
「でしょ？なら、謝ることなんて無いんだよ。かっこよかった。」
全力を出した結果なら、反省をすることはあっても謝ることは何一つとして無いのだ。
少女は二人の顔を見てもう一度言った。
「かっこよかった。」
「「…。」」
二人の目からは涙が零れ落ちている。
「さぁ！切り替えて、次の試合を見て研究しよう。」
少女は二人から離れ、パン！と一回手を叩いた。
負けの結果を引きずりすぎることは良くない。反省は家に帰ってからでも充分だ。
今はまだ、ここでするべきことがある。
二郎と三郎は涙をぬぐって前を向く。
「そうだね。」
「今は次の試合を見ましょう。」
「それでよし！…ところで一郎は？」
「あ、兄ちゃんなら〜〜。」
「一郎。」
「…Aか。」
『兄ちゃんなら先に行ってろって。』
二郎が先ほど少女に教えてくれたので、少女は一郎を探していたところソファーに座る一郎を発見した。
「「…」」
少女は何も言わずに一郎の隣に座る。
「負けた。」
一郎は少女にもたれかかり一言だけ呟いた。
「負けたね。」
また、沈黙が訪れる。
「また、不甲斐ないとか思ってる？」
少女は一郎に問いかけた。
「まぁな。」
「そっか。」
一郎は少女の肩に顔をうずめる。
この兄弟は本当に行動がそっくりだ。
少女はまた湿り始めた肩を無視して、一郎の頭を撫でた。
「一つ言えるとしたら」
「あぁ。」
「かっこよかったよ。」
＿ラップ大好きなんだね。
少女が言ったことはただそれだけだった。
後はただひたすら沈黙が続き、少女は一郎の頭を撫で続けた。
「…悪かったな。二郎も三郎も待ってただろ？」
「待ってたよー。」
良し行くか。二人はようやく立ち上がり、二人の待つ控室へと足を進めた。
一郎は今回の結果を受け止め、真っすぐ前を向いていた。
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芋けんぴ(プロフ) - 讃良さん» ありがとうございます。私の妄想でニヤニヤしてくださるとは、嬉しいです！気持ち悪いだなんて滅相もない。嬉しい限りです。 (2020年8月2日 12時) (
レス) id: 9d0d70bc15 (このIDを非表示/違反報告)
讃良 - こんにちは！すごく面白くて、終始ニヤニヤしながら読ませていただきました(どうか気持ち悪いとか思わないで！)。これからも全力で応援しております。頑張ってください。体調にだけ気をつけて！ (2020年8月2日 10時) (レス) id: 0970343196 (このIDを非表示/違反報告)
芋けんぴ(プロフ) - 神坂 チトセさん» ありがとうございます。私も、コメントの嬉しさにニヤニヤが止まりません。嬉しい限りです。 (2020年8月1日 23時) (レス) id: 9d0d70bc15 (このIDを非表示/違反報告)
神坂 チトセ - こんにちは、めっちゃ面白いです。ニヤニヤが止まりません（笑）無理の無い範囲でこれからも頑張って下さい(^ ^) (2020年8月1日 20時) (レス) id: 46099f0789 (このIDを非表示/違反報告)
芋けんぴ(プロフ) - マチさん» ありがとうございます。嬉しい限りです。 (2020年7月21日 17時) (レス) id: 9d0d70bc15 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：芋けんぴ | 作成日時：2020年7月14日 22時
