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日常40 病院 ページ3

「A、着いたぞ。」

「ありがとう。」

一郎の運転でとある地の病院にたどり着いた。
一郎は車から降りて後部座席の方へ行き、少女に声をかける。
その後少女は一郎の肩を借りて病院の中へ向かった。

「ちょっと待っていてくれ。」

「うん。」

一郎は少女を椅子に座らせ、受付で事情を話す。

「待たせてわりぃな。歩けるか?」

「…うん。」

少女は一郎とともにある診察室に入る。

「やぁ一郎君待っていたよ。」

「寂雷さん、お久しぶりです。急な連絡だったのにありがとうございます。」

診察室で待ち受けていたのは、長い髪をしたどこか神々しさすら感じる男性。
彼の名は神宮寺寂雷。一郎の旧友である。

「大丈夫だよ。熱を出したのはそちらのお嬢さんかな?」

「はい。A、座れるか?…A?」

「…あ、うん。ごめんね一郎。」

少女はかなりしんどいようで、一郎の言葉への反応が遅れる。
一郎は心配しながらできるだけ慎重に少女を座らせた。

「これはだいぶきつそうだね。一郎君、彼女を支えていてくれるかい?」

「もちろんです。」

「じゃあ、少し失礼するよ。…39.8度。高熱だね。」

少女は一郎に支えられながら、寂雷からの診察を受ける。

「…うん。恐らく季節の変わり目によくある風邪だね。」

「そうですか。」

「いま、薬を出すから外のソファーに座って待っていてくれるかな?」

「わかりました。よし、行くぞA。…A?おい…」

ぐらり
一郎が少女と診察室から出ようとしたところ少女の身体が傾いた。

「どうやら高熱により気を失っているようだね。」

「…無理させてすまねぇな。」

一郎は少女の顔を見て申し訳なさそうな表情を浮かべている。

「寂雷さんすみません。俺、この後依頼があって…。」

「なら、その依頼が終わるまで彼女を預かっておこうか?」

「良いんすか?」

「もちろんだよ。この状態での移動は彼女に負荷がかかるからね。彼女をそこのベッドに寝かせてもらえるかな?」

「わかりました。重ね重ねありがとうございます。」

一郎は少女を抱き上げ寂雷の指示通りベッドに寝かせる。そして、ベッドで寝ている少女を見つめ頭を一度撫でた後、名残惜しそうに診察室を出た。

「一郎君がここまで大切に扱う女性とは…君はいったいどのような子なんだろうね。興味深いよ。」

寂雷は眠る少女を見た後、看護師に任せ診察室から出ていき次の診察に向かった。

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芋けんぴ(プロフ) - 讃良さん» ありがとうございます。私の妄想でニヤニヤしてくださるとは、嬉しいです!気持ち悪いだなんて滅相もない。嬉しい限りです。 (2020年8月2日 12時) (レス) id: 9d0d70bc15 (このIDを非表示/違反報告)
讃良 - こんにちは!すごく面白くて、終始ニヤニヤしながら読ませていただきました(どうか気持ち悪いとか思わないで!)。これからも全力で応援しております。頑張ってください。体調にだけ気をつけて! (2020年8月2日 10時) (レス) id: 0970343196 (このIDを非表示/違反報告)
芋けんぴ(プロフ) - 神坂 チトセさん» ありがとうございます。私も、コメントの嬉しさにニヤニヤが止まりません。嬉しい限りです。 (2020年8月1日 23時) (レス) id: 9d0d70bc15 (このIDを非表示/違反報告)
神坂 チトセ - こんにちは、めっちゃ面白いです。ニヤニヤが止まりません(笑)無理の無い範囲でこれからも頑張って下さい(^ ^) (2020年8月1日 20時) (レス) id: 46099f0789 (このIDを非表示/違反報告)
芋けんぴ(プロフ) - マチさん» ありがとうございます。嬉しい限りです。 (2020年7月21日 17時) (レス) id: 9d0d70bc15 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:芋けんぴ | 作成日時:2020年7月14日 22時

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