王子なんてくそ食らえ２【佐野玲於】 (ページ21)

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頭が真っ白になって、さっきまで熱かった顔も体も一瞬にして血の気がひいた。

好きな子？

全然考えなかったわけじゃない。でも彼女いないってことにきっとどこかで安心して考えてなかったんだと思う。自分が本当にバカみたい。

もし玲於の好きな子が絵理だって言われたら応援しなきゃって考えたりもした。

でも

彼氏持ち？

その子は誰？

私の知らない子？

いつから好きなの？

知りたいけど知りたくない。。。

今までにないくらい胸が苦しい。玲於の顔なんて見れない。

綾乃『嘘。。佐野くん好きな子いたの？』

何も言えなくなった私のかわりに綾乃がしゃべる。

玲於『あぁ、うん。』

亜嵐『無理しちゃうくらい好きだよねw』

玲於『もう亜嵐くん本当にいいから。』

こんなタイミングでちょうど皆が頼んだ食べ物が運ばれてきた。

綾乃がこっちを心配そうに見ながら話しを反らして沢山しゃべってるけど、何にも話の内容が入ってこない。

大好きなイチゴパフェ。目の前にあるのに今は全然食べたくない。

玲於『食わないの？』

A『...うん。イチゴあげる。』

玲於『は？』

亜嵐『Aちゃん急にどうしたの？具合い悪い？』

綾乃『A。。。』

A『何か、、痛くて。。。お腹。』

今にも涙が出てきそう。必死に違うこと考えて堪えてる。

お腹なんて痛くない。痛いのは心臓なの。

玲於『マジで？帰る？』

A『...平気。ちょっと休憩する。』

こんな状況なのに、今帰って一人になったらおかしくなっちゃう。

綾乃が言った通りだ。

恋するって、誰かを好きになるって、胸が苦しいって言ってたけどそんなのまだ苦しいの内に入らないって思うくらい。

玲於に好きな子がいるって聞いただけで目の前が真っ暗。

もしその子と玲於が彼氏彼女って呼ぶ仲になったら...なんて絶対考えたくない。

25Mプールを息継ぎなしで泳ぐよりずっとずっと苦しい。

こんな苦しいなんて知らなかった。。。

いつも助けてくれたり、本当はすごく優しかったり、ダンスしてる時すごく輝いててかっこよかったり、笑った顔が可愛かったり、たまにドキドキするようなこと言ったり、気づいたら私の中に玲於がいっぱいで、どうしようもないくらい好き。

ずっとそんな玲於の傍にいたいなんて思っちゃったから罰が当たったのかな。

この楽しくてしかたない一緒にいる時間は永遠じゃないってこと今すごく痛感してる。

きっともうそんな時間は続かない。