第二百十六話【もう離さない】 ページ29
「くそっ!数が多すぎる!」
どれだけ目の前の厄災に打ち勝つ力があったとしても、それは相手の力と同等の力が無ければ相手に勝ることができない。
無理だ。徐々にその考えが皆んなの頭の中を駆け回る。だがそこに────
ガシャ......ガシャ......
複数の鯖れた金属が擦る音が聞こえた。その音がした方向を見ると一同は目を疑った。
「アンドロイド何で!?」
その視線の先には秋田を失う原因となった数十体のアンドロイドがその場所に列を成していた。
「もしや乱歩さんに頼んだのって......!これ!?」
「名探偵君には嫌な役回りを押し付けてしまったが。今は何とか数で押し切るしかない状況だ。アンドロイドを囮にして、何としてでも【黒】に近づく。そのあとは太宰君......君の番だ」
アンドロイド達は一斉に【黒】に向かって走り出した。【黒】もそれを認識したのか黒い手が一斉にアンドロイド達へ向かう。
アンドロイドが一体、また一体と破壊される。
だが、黒い手はアンドロイド達に注意を逸らされ、探偵社員達に手が出しにくい状態になっていた。
「これなら!いける!」
敦が叫んだ。
「此処で一気に道を開けるぞ!太宰!しっかり決めろよ!」
国木田が銃を構えながら叫ぶ。
「あぁ!任された!」
太宰はその声に押されて走る。もう二度と大切なものを失わないために......
そして、あともう少しで手が届く距離で、【黒】が太宰の姿を捉え大鎌を大きく振りかぶった。
それでも、太宰は走る足を止めない。そして、短く呟く。
「ありがとうございます、社長」
その瞬間、【黒】の鎌が砕けた────
「死神......返してもらうぞ。我が娘を」
福沢の持つ刀が光る。それはまるで黒い霧を晴らす一筋の希望のように......
一瞬、【黒】の動きが止まったのを見て太宰は手を伸ばした。
一度は掴めなかった。だが、二度目の機会が回ってきた。二度目はもう失ったりしない。今此処で......!
「今度は離さない......!」
太宰が【黒】の腕を掴んだ────
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トキハル(プロフ) - 藍染紅琳さん» コメントありがとうございます!無事に完結することができました。そう思っていただけたのなら私も嬉しいです。私も知っている作品がありましたらぜひ読ませていただきますね(^^) こちらこそ応援してくださりありがとうございました! (2023年1月31日 15時) (レス) id: a4508594ec (このIDを非表示/違反報告)
藍染紅琳(プロフ) - 完結おめでとうございます!!トキハルさんの書く文章を読んで私、漸く作者側に戻ってみようと思うことが出来ました。今度は私の作品を読んでいただけたらとても光栄です^^本当にお疲れ様でした!! (2023年1月31日 10時) (レス) @page40 id: 94358f61cd (このIDを非表示/違反報告)
トキハル(プロフ) - 藍染紅琳さん» たくさんお待たせしてしまってすみません(┯_┯)ずっと待っていてくださりありがとうございました! 後編もまた来週くらいには上げられるように仕上げていきますので、今もう少しお待ちしていただけるとお願いしますm(_ _)m (2023年1月28日 10時) (レス) id: a4508594ec (このIDを非表示/違反報告)
藍染紅琳(プロフ) - 続編おめでとうございます!!そしておかえりなさいです!ずっとずっと待ってました^^戻ってきて下さっただけで嬉しいです!!更新応援してます!! (2023年1月28日 7時) (レス) id: 94358f61cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:トキハル | 作成日時:2023年1月26日 23時