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第百五話【組合の実力】 ページ9

目の前の敵に睨み合っていると、横から私の体が吹き飛ばさせる映像が見えた。『天衣無縫』が発動したのだった。


映像が終わった時、直ぐに横へ目を向けた。視線の先には黒い外套を着た男が立っていた。攻撃がくる方向は分かっている。私はいつでも避けられるように足に力を入れた。そして男は怠そうに腕を上げた。すると彼の腕から異能特有の発光が出た。その瞬間、何かが私に向かって迫った。


その攻撃を避けようとした瞬間、私の足が動かなかった。直ぐに足の方へ目を向けると、足に葡萄の蔓が絡まりついていた。


(嘘......!)


数秒後、何かが私の体を横に吹き飛ばし、そのまま公園の柱に叩きつけた。ピシッ......と嫌な音が聞こえた。衝撃で肋骨が折れたかもしれない。痛みに呻きながらも前に目を向けた。


攻撃を仕掛けた黒い外套の男の腕は、普通の人間のような手ではなかった。それは何本もの触手が絡み合って腕を形成していた。このような人間が存在するのか......その腕は異能によるものなのか......最悪彼自身が人外を超えた存在なのかは今の状況では答えを出せなかった。


私は何とか痛む体を起こし立ち上がった。


目の前には三人の異能力者、満身創痍の体───もう、勝敗は見えている。


私は覚悟をし、目の前の人物達に向かって走り出した。そして、血液状の刃物、風化させる攻撃、異形のものによる攻撃を受け続けた。出来る限り小刀で攻撃を防いだが、それも永遠などない限界が来た。


パキンッ......!


小刀が音を立てて砕けた。


もう防ぐものは何もない。そして刀が折れたからといって攻撃が止まるわけではない。その直後、私の体に強い衝撃が入り、目の前が真っ暗になった────







────再び目を開けた時、薄目から見えたのは組合がこの場から立ち去っていく後ろ姿だった。


体を起こそうにも力が入らなかった。しかし私は、最後の力を振り絞って、端末を取り出すと探偵社に救援信号を送った。信号を送った瞬間、端末が手からカタリッと音を立てて地面に落ちた。


徐々に瞼が力を無くし、私の意識はそのまま暗闇に落ちていった。

第百六話【深淵の少女】→←第百四話【紅血と風化】



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トキハル(プロフ) - 長らくお待たせしましたm(_ _)m 更新始めていきます。 (2020年3月4日 15時) (レス) id: a4508594ec (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:トキハル | 作成日時:2020年3月4日 14時

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