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トントンと静かな廊下に足音が鳴る。
何だか、ナワーブがいつもより生彩に欠けているような気がする。
別段顔色が悪いわけでもないけれど、やはりどこか様子が変だ。
食べるのが好きな彼が、夕食に顔を出さない時点で不可解というのもあるけれど。
ちらりと彼の方を見て、思いきって口を開く。
『ナワーブ、やっぱり体調悪いんじゃない？』
「あー……？いや、体調は悪くない」
私がポツリと問いかけると、あっさりとした返事が返される。
体調"は"？
ということは、他に何かあるのだろうか。
『えっと、じゃあ悩みごととか？』
その投げかけた言葉に、階段を降りる彼の足音がぱたりと止んだ。
不思議に思い、振り返って彼の様子を確認する。
だけどナワーブの表情は、フードで影になっていてよくわからなかった。
「お前さ、何でわざわざ俺の様子見に来たんだ？」
『え……？』
冷たく響いた彼の声は、いつもよりも低く感じられた。
何でって、ナワーブが心配だからに決まっているけど。
そんなことを言えるわけもなく、痛い沈黙が少しの間続いた。
「そういうの、やめろよな。周りに勘違いされても知らねえぞ」
言い放ち、階段をすたすたと降りていく彼の背中が酷く遠く感じた。
ずきりと心が軋む。
勘違いされてもいいんだよって、頭のどこかで聞こえた気がした。
その声は私の本音だけれど。
そんな言い方をするということは、恐らく彼は嫌なんだろうな。
まあ、当たり前だよね。
わかっていたことだけれど、心はズキズキと痛むことをやめない。
『そ、そうだね』
そう言って無理にあげた口角は、吊っている感覚をおぼえる。
ここで悲しんでいることが知れたら、余計に変だと思われてしまう。
誤魔化すように、足早に彼の横をすり抜け、食堂の扉を引く。
これ以上話していると、意味のない涙が出てしまいそうだった。
「あ、戻ってきた。Aの好きそうなフルーツ、取っておいたよ」
扉を引くと、デザートを用意してくれているイライが声をかけてきた。
嗚呼、助かった。
『うん、ありがとう！』
気持ちを振り払うように、私は彼のもとへ早歩きで駆けた。
「くそ、何で……」
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ノア - いい話でした!!!でも完結しないで欲しかった!!!なんか寂しい!!! (2021年9月16日 18時) (
レス) id: d3532bbf31 (このIDを非表示/違反報告)
ソーダー - 完結おめでとう！！ナワーブかっこよかったなーこれからも頑張れ (2020年1月23日 18時) (レス) id: 54c7bc329a (このIDを非表示/違反報告)
主人公(プロフ) - 完結おめでとうございます！ナワーブくんと夢主ちゃんの葛藤……二人とも幸せになって良かったです！イライくんは…ちょっと悲しいけど…とても素敵なお話でした！ (2019年8月14日 8時) (レス) id: b1a69e75f8 (このIDを非表示/違反報告)
setuna7014(プロフ) - 完結おめでとうございます、とても素敵な作品でした。次のお話も期待しております (2019年8月14日 3時) (レス) id: 9c6758aed7 (このIDを非表示/違反報告)
ぽぴら(プロフ) - setuna7014さん» 率直なコメントとっても嬉しいです、ありがとうございます！更新頑張ります…！ (2019年8月3日 23時) (レス) id: 3f5b5addce (このIDを非表示/違反報告)
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