キバナの膵臓をたべたい ページ33
｢そろそろスパイクタウンの移転について、本格的に考えてくれた頃かと思ってね｣
ネズ(また、この夢……)
｢将来ジムリーダーになるであろう妹さんのためにもなるよ。 ダイマックスを使わないのはキミだけのポリシーじゃないか｣
｢妹さんだけじゃない。 次のジムリーダー、また次のジムリーダーにも縛りを強制する気かい？ そういうわけじゃないだろう｣
ネズ(……街を移動しちゃ、意味ないんですよ)
ネズ(例えばスパイクタウンをパワースポットの上に移し替えたら、そこはスパイクタウンと言えるのでしょうか)
ネズ(……言えない)
ネズ(町っていうのは、場所が変わっても内容は変わらないなんて簡単な概念では無い、と おれは思う。 故におれ在り)ｺｷﾞﾄｴﾙｺﾞｽﾑ
ネズ(この考えは おれだけの解釈なんだろうか)
ネズ(おれの主義主張は間違ってるんだろうか)
ぺちぺち
ネズ｢痛え痛え｣
キバナ｢うなされてたから起こしたぜ｣
ﾀﾁﾌｻｸﾞﾏ｢ぐもぅ｣
ネズ｢そりゃどうも｣
キバナ｢結局今回も眠れたのは30分程度か｣
ネズ｢夢のせいでかえって寝る前より疲れたまでありますよ。 はぁ……｣
ネズ｢ところでキバナ、テセウスの船って知ってます？｣
キバナ｢知らねえ。 教えて｣
ネズ｢ある船が壊れる度修理され続け、最終的に船の部品が全部置き換えられたとしても、その船は最初と同じ船と言えるのかどうかというパラドックスです｣
キバナ｢哲学か｣
ネズ｢哲学です｣
ネズ｢それを踏まえて、例えばおれが三食キバナだけを食べるとするでしょう？｣
キバナ｢うん｣
ネズ｢キバナはおれより質量が多いはずなんで、全部食べ切ればおれの細胞は全部キバナ由来の細胞に置き換わるわけじゃないですか｣
キバナ｢うん｣
ネズ｢そうなったおれはネズなんでしょうか。 もしかしたらキバナなんじゃ？｣
キバナ｢一昨日カレー作りすぎたろ？｣
ネズ｢はい｣
キバナ｢あまりに余りすぎたから昨日三食カレーだったろ？｣
ネズ｢はい｣
キバナ｢じゃあ今のお前はカレーなの？｣
ネズ｢ネズだよ｣
キバナ｢そういうことだろ｣
ネズ｢なるほど……頭いいなキバナ｣
キバナ｢ジムリーダー最強だからな｣
キバナ｢で、この質問からなんの答えが導き出されたわけ？｣
ネズ｢あれ……なんでしたっけ。 寝ぼけて忘れた｣
キバナ｢うっかり屋さんなんだから もぉー｣
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作者名：かおり | 作成日時：2020年1月16日 4時
