楽屋の一角、攻防戦 ページ15
大阪32 つ
お腹に上着を巻いて、マンゲキのソファーに横たわる。今日のマンゲキ黒ソファー占領芸人は私です、どうかお許しを。
ここからは、タカトシのトシさんVS生理痛VSダークライの戦いが始まる。
どうか、トシさんの勝利を願って。
「ちょっとお嬢さん、何をそんな眉間に皺寄せてスマホ見てますの」
『…ぁ、辻さんや』
「お嬢ちゃん、俺座るところないから頭上げてもろてええ?」
『……はい、?』
上から聞き慣れた声が降ってきて突然現れたと思ったら、何やら意味のわからないことを言い出した。
『ちょっと何言ってるかわかんないです』
「頭上げてくれたら俺そこ座れんねん」
『…それ上げた私の頭どうなるんですか?』
「俺の足の上やな。
なんや、上げてくれるんかい。素直なええ子ちゃんか」
頭を上げると、彼はソファーに座ったので言葉通り彼の太ももにそのまま頭を下ろした。
「ほんで、何見てんの?」
『わ、ちょっと』
スマホの画面を覗き込まれる。事情説明しなただのトシさんの顔ファンみたいなるやんけ。
「え、!?お前そんな顰めっ面でトシさん見てんの!?」
ほらな、
『ちゃうわ、いやちゃうわってのも違うけど、トシさんの顔見たら生理痛楽になるってやつ!』
「へー、そうなんや。
そんなん、Aは俺の顔見てた方がええやろ」
『ふぇ、』
トシさんと見つめ合いながら話していたはずなのに、ほっぺたを掴まれて気づけば真上にいる皓平と目が合っていた。
『はひするん、』
何するん、が圧倒的なは行になってしまう。
「ふはは、かわええなぁ。トシさんより俺の顔見てる方がきっとようなるで。A、俺のことすきやからな」
男性の片手の力というのは私が想像する以上にあるものらしく、私が彼氏のこと(と顔)が好きなのも事実らしくて、目が離せなくなる。
そして、どんどんその顔はこちらに距離を詰めてくる。
「…ふ、ちゅーして、って顔してんな」
にこにこと笑いながら、ほっぺたを解除され、そのまま手は私の頭を撫で始めた。
『んなことないわ、』
「ふーん、してもええねんけどなぁ」
不本意にも、一度逸らした目が泳ぐ。
「なんやねん、してほしいんや」
『もう、からかわんといてよ、!!』
ゆっくり休むはずだったのに、何故かこんなことになりお腹にかけていた上着を顔まで被る。
「でも、元気出たやろ。マシなった?」
『…………なった、』
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作者名:ななくさ | 作成日時:2025年1月2日 4時