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(藤堂)


その日外に出ていたミコトが魂が抜け切ったような表情で帰ってきた。向かいのデスクにどかっと腰掛けたミコトに私はパソコンの画面を見つめたまま声をかけた。


『どうしたの、元気ないね。』


三澄「鈴木さんに検査費用返しに行ったんだけど、ちょっとね…。」


『何かあった?』


三澄「……A、夕ご飯行かない?久しぶりに2人で。」


『勿論!』

ミコトの方に視線を向けて微笑むと彼女も力無く笑った。






夜。


三澄「…で、土下座されちゃったってわけだよ。」


久しぶりにミコトと夕食を共にしている。今日久部くんと鈴木さんに検査費用を返しに行ったのだが、鈴木さんに返さなくていいから死因を調べてくれと頭を下げられたようだ。


『居た堪れないね。』


三澄「それだけ好きだったんだろうなー。ジサツだって信じたくない気持ち、めちゃくちゃわかるよ。」


『すごいなー。そこまで人に思われて見たいもんだわ。』


私がクスッと笑うとミコトは手にしていたナイフとフォークをカチャンと音を立てて皿の上に置いた。


三澄「大学にいた時さ、よく教授の酒呑みに付き合ってベロベロになったことあったじゃん?」


『懐かしいねー!次の日全員二日酔いで全然解剖進まないやつ!』


三澄「その時よく、酔っ払ったAが好きな人の話してたの覚えてる?」


『…そうだっけ?』


ミコトの言うことに覚えがなかった。たしかに私はお酒が強い方ではないので、大酒呑みの教授に真っ先に潰されるのは私だったが、そんな事を話していたなんて…


三澄「それってさ、中堂さんのこと?」


『え?』


三澄「よく言ってたよ。どれだけ好きでいてもその人は振り向いてくれないのわかってるからって。なんか、この前の話聞いたら中堂さんが当てはまるなって思ってさ。」


『あはは、久部くんより探偵っぽいよミコト。』


そうかな?とミコトはまたナイフとフォークを取って料理を食べ始めた。


『まぁ…そうなんだけどね。』


三澄「やっぱり。」


『でも私の気持ちは、この先も秘めたままかな。』


私がそう言うとミコトは赤ワインの入った自分のグラスを私の目の前に差し出した。


三澄「私は応援してるよ、Aのこと。」


『……ありがとね。』


私も自分のグラスを手に取ってミコトのそれにカチンと音の鳴るように当てた。









帰り道、Aは教授の飲み会で好きな人の話なんてした事ないよと言われて、顔が真っ赤になったのはまた別のお話。

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作者名:yuyu | 作成日時:2018年3月13日 9時

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