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(三澄)


「すいませーん!藤堂さんいます?」


私が会議室を出たのとちょうど同じくして常駐企業の人がAを探してやってきた。


「藤堂は今席外してますけど…どうしました?」


その人から手渡された遺体番号の無い検査依頼表に目を遣る。どう考えても、昨日のご遺体だ。


Aは何をやってるんだと頭を過ぎったが、あの子が自分の意思でこんな馬鹿げた事をやるはずがない。


「お疲れ様でした、渡しておきます。」



検査技師の方を見送ると、ちょうど目の前のエレベーターから中堂さんが出てくるのが見えた。

「中堂さん!!!Aは!?」


中堂「あぁ。少し使いを頼んだ。」


「パシリですか。」


中堂「まぁそんなところだ。」


「それよりこれ!遺体番号書いてないですけど、これ鈴木果歩さんの胸腔液の検査依頼ですよね!?ご遺体ちゃんと返したんですよね!?」


中堂「あぁ、そういえば、肺をしまい忘れた。」


私は驚きのあまり開いた口が塞がらないまま中堂さんを見つめるしか出来なかった。


中堂「心配するな、保管してある。」


「嘘でしょ…あるの…。」






そのまま中堂さんの腕を引っ張って解剖室へ向かった。中堂さんは666と書かれたケースを私へ差し出した。


「中堂さん、これ窃盗ですよ…。」


中堂「俺は警察の奴らに遺体を閉じて返せと言われた。だから言われた通り返した。だが取り出した肺を体に戻せとは一言も言われていない。」


「屁理屈…!」


中堂「プランクトン検査の結果は?」


「……、海水の成分は検出されましたが、特に目ぼしいものは出ていません。」


中堂「現場の海水との比較が必要だな。」


「まだ調べるつもりですか!?」


私は中堂さんに詰め寄る。


「中堂さんは個別の案件に深入りするタイプではないと思ってました。」


中堂「同じような事をAにも言われたな。」


「どうしてそんなに?納得のいく説明をしてください!」


中堂さんは伏せていた目線を上げて私と目を合わせた。


中堂「考えたことがあるか?永遠に答えの出ない問いを繰り返す人生。今結論を出さなければ、もう二度と、この人物がどうして死んだのかを知ることは出来ない。永遠に答えの出ない問いに一生向き合い続けなければならない。そういう奴を1人でも減らすのが、法医学の仕事なんじゃないのか?」


中堂さんの真剣な眼差しを初めて見た気がする。私は何も言えずにその場に立ち竦むしか出来なかった。

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作者名:yuyu | 作成日時:2018年3月13日 9時

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