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「そしてここが食堂。あなたが入ってきた場所の左手側よ。みんな7時、12時、18時辺りになるとここに来て食事をとっているわ。
貴女、夕飯はまだでしょう？いまから丁度夕飯の時間になるわ。食べる時に他の人にも顔合わせをしたらいいわよ」
あぁ、なんてお人好しなんだろう。全てを分かりやすく教えてくれた上に他の人との糸口まで作ってくれた。
ここでひとつ疑問が生まれ、思わず口にしてしまう。
「ウィラさんは何故このゲームに？」
見た感じ彼女は上級貴族。きっと金銭には困っていないはずだ。何故このゲームに参加したのだろう。
「……貴女に話すほどのものではないわよ」
そう言い放ったウィラさんの顔は一瞬曇っていた。
きっと彼女も複雑な事情があるのだろう。
私だってそうだ。今のは失言だった。
「すいません、無神経なことを……」
「あら、無神経だと自覚してるならいいわよ？」
……やっぱり怒ってる。
そんなやりとりをしていると後方からガチャリとドアノブを回す音がした。誰かが部屋から出てきたようだ。
頭にヘルメットを被った男性が出てきた。
挨拶を交わすために彼に近寄ると彼の右目周囲には火傷の痕がある事に気付いた。
「貴方もサバイバーの方…ですよね？私農家のAです」
「あぁ、君が4人目のサバイバーか。僕はノートン・キャンベル。炭鉱労働者だ」
炭鉱労働者？労働者という事は彼も労働階級なので貴族が集まるゲームではないと分かり安心する。
「はい、ノートンさんですね！よろしくお願いします」
「あぁよろしく、でもゲーム中以外はあまり関わりを持つ気はないんだ。すまないね」
笑顔のままそう言ったノートンさんの目には目前の私を映していなかった。私よりもずっと遠くの所を見ているようでなんとも言えない気味の悪さを感じてしまう。
「…あ！はい、分かりました」
「僕のわがままを聞き入れてくれてありがとう。じゃあ僕は先に夕食を頂くよ」
そうして彼は椅子に座り、用意されていた夕飯を食べ始めた。
きっと悪い人ではない。彼も彼女もきっと何かを抱えている。私も例外ではない。そうでなければこんなゲーム参加していないのだから。
呆然と立ち尽くしている間に気づけばウィラさんも夕飯を食べ始めていた。私も急いで自分の席に着き手を合わせて「いただきます」と呟いた。
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野菜 - 感想ありがとうございます！こんな褒められると思ってなかったので嬉しい限りです。引き続き頑張りますので是非たのしみにお待ちください！ (2019年6月27日 16時) (
レス) id: d6aefcc85a (このIDを非表示/違反報告)
saniwanotori(プロフ) - 背景推理からとても丁寧に物語を構成されていて読み応えがありました。不穏な描写の表現も天才的でドキドキしながら読ませて頂きました。こんなに面白くてとても素敵な作品に出会えて幸せです！切実に消さないで欲しいと思いつつ、続きを楽しみにしております (2019年6月26日 23時) (レス) id: 9faba28f95 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：野菜 | 作成日時：2019年6月22日 13時
