気づいてはいけないような ページ12
【桜井Aside】
「____入るぞ、トシ」
「あァ。」
___すっと戸が開き、局長と隊長がそろって副長室に入った。
『局長、隊長、お疲れ様です。』
「おう。A、怪我してるってのによくやったな。お疲れさん。」
『いえ。少女がこの間の俺と同じような状況にいたもので、放っておけなくて』
「…どうやらその男たちは前科持ちのようでなァ。Aが捕まえてくれて助かったよ。」
『そうなんですか。それは本当にすぐ助けに入って良かったです。』
ガハハと豪快に笑う局長に、こちらもつられて微笑んでいると。
『………隊長?』
隊長はこちらへ近寄り、私の頭を撫でてきた。……どうしたのだろうか。
「…実はな、Aが男たちを倒したという話を聞いたとたん、終が慌て始めてなァ。刀持てば強いし大丈夫だろうと言ったんだが、…Aは怪我してるし、心配したんじゃないか?」
『そ……なんですか?』
私の前に立つ隊長をちらりと見上げてみると、_____いつの日か、私を助けに来てくれた時のような目をしており。
(………本気で、心配してくれたのかな)
『隊長、局長の言った通り、俺は刀があれば男が相手でもどうってことありませんよ。…………でも、心配してくださり、ありがとうございます。』
___隊長のやさしさと、頭の上のぬくもりに、思わず嬉しくなり………そして、少々照れてしまい、思わず、ひひ、とはにかんでしまった。
____と。後ろの方から、"おお、"なんて声が。
「おいアフロ、いつの間にそんなに仲良くなってたんだ?やるじゃねぇか。」
「まさか、お前ら付き合ってるアルカ!?」
『いや付き合ってませんが?』
……私と隊長が、付き合ってるだなんて_____そんなの、男として接してくれる隊士の皆さんに、失礼なのではないだろうか。
(…失礼、なのだろうか…?)
「なんだよ、いいカンジだと思ったのに違ェのか。」
「じゃあアフロは付き合ってもない女の頭撫でられるってことアルカ!?やるじゃねぇかアフロ!!」
___またもや騒がしくなった部屋で一人、考え込んだ。
隊長は、上司として、本当に慕うべき存在で。……あたたかく、やさしい。無口でも、私のことを守ってくれて、気にかけてくれるような人である。
(………私はそんな隊長のことを、どう思ってる…?)
____何か、気づいてはいけないようなことに気づいてしまうような。
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やまなな(プロフ) - あずきぱふぇ@狂愛さん» ありがとうございます!もう更新しなくなって3年とか経ってしまっていたので、返すかどうか悩んだのですが…せっかくいただいてとても嬉しいので返させていただきました!鬼気まぐれ更新ですが、いつかなんとか完結させたいなあと思いますので何卒…! (2023年3月19日 20時) (レス) id: 57d00f58c5 (このIDを非表示/違反報告)
あずきぱふぇ@狂愛(プロフ) - ぎゃあああああ!!!終兄さぁぁぁぁぁん!!!更新楽しみにしてます! (2021年3月24日 14時) (レス) id: 647e80459a (このIDを非表示/違反報告)
やまなな(プロフ) - 岡Pさん» ご覧いただきありがとうございます!!とても嬉しいです!応えられるよう更新頑張ってまいります! (2021年3月8日 17時) (レス) id: 2a45d58c1c (このIDを非表示/違反報告)
岡P(プロフ) - 素敵なお話しですね。この先どうなるのか楽しみです。更新心待ちにしています。頑張って下さいね。 (2021年3月8日 1時) (携帯から) (レス) id: 8256504f4a (このIDを非表示/違反報告)
やまなな(プロフ) - くるみさん» わわわ、今でもご覧いただき、嬉しい限りです!!ありがとうございます!頑張ります!! (2021年3月5日 0時) (レス) id: 2a45d58c1c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:やまなな | 作成日時:2020年3月27日 17時