天つ空なる人を恋ふとて ページ2
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最近、私の色んな初めてを捧げた彼を
テレビでよく見るようになった。
「Aちゃん、もっと寄って」
人混みを歩いていたとき、彼に腕を掴まれ引き寄せられた。
「ゎ、」
「はぐれてまうから」
そう言って繋がれた手。
初めて男の人と繋いだ私の手は私のじゃないみたいだった。
「またな」
「うん、」
次のデートは未定。
駅で別れるとき、自然と抱き寄せられて背中に回った彼の手が熱かったのを今でも覚えてる。
「目閉じて？睫毛になんかついとる」
「えっ！うそ、」
素直に目を閉じると、唇に何かがぶつかった。
「んっ？！」
目を開けると整った彼の顔が目の前にあって
キスされてるんだと気付いた。
「Aちゃんの唇、柔らかい…ふは、真っ赤やん」
「したことないん？」
「だって、、私が好きになったの将企くんが初めてだから」
恥ずかしくて下を向くと、顔に手が添えられて
「怖い？」
いつも以上に優しい声だった。
「、んん、大丈夫、」
「ありがとう、優しくする」
「っ、ん、、んっ」
初めての感覚に頭がおかしくなりそうで、
身体がどうにかなっちゃいそうで、兎に角必死に口を抑えた。
「なんで声我慢するん？聞かせて」
「っ！ま、将企く、っあ！」
私の腰を掴んでいた彼の両手が
口を塞ぐ手を掴んで離され自分の腰に持っていった。
「ここ、掴んどって」
「ゃ、待っ！ぁあっ」
怖くなって目をぎゅっと瞑ると彼の動きが止まって
ゆっくり目を開ける。
「目、見て」
彼は私のこと沢山愛してくれたし、愛し方を教えてくれた。
それなのに、
それなのに、
あれから何年も月日は流れて
何人かの男性とのお付き合いと別れを経験した。
彼はこういうときこうしてくれたのに、って
毎回比較してしまって別れに繋がった。
もう画面越しにしか会えない彼。
こうやってずるずると想っているのは私だけだよね？
なんなら私のことなんか忘れてるかも知れない...
愛し方を教えてくれたなら、
忘れ方も教えて欲しかった。
もう、他の人を愛せないの
貴方の愛し方しか、知らないから
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霞ゆく空背にして / Janne Da Arc
思へどもなほぞあやしき逢ふことの→←なにそこの児のここだかなしき
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作者名：裕 | 作成日時：2022年3月12日 12時
