嘆けとて月やはものを思はする ページ45
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月が綺麗な夜
「これ、落としませんでした？」
「えっ？ぁ…ありがとうございます！」
ピアスを拾ったのが、俺とAちゃんの出会い。
「母から譲り受けた大切なピアスなので本当に助かりました」とお礼に奢って貰い、それからたまに2人でご飯に行くようになった。
Aちゃんには大好きな彼がおって惚気を聞かされる。それでも会うのは邪な考えがあって、あわよくば…って思っとるのが本音。
そんな俺にチャンスが来た。
「彼が - 」
彼と喧嘩した、と泣きながらお酒を飲むAちゃんに優しい言葉を沢山かけて頭を撫でる。
いつも以上にお酒を煽って、いつも以上に艶っぽいAちゃんに我慢出来んくなって「ちょっと休憩してから帰った方がええんちゃう？」って理由付けてホテルに入った。
「将企くん、、抱いて？」
涙目で俺を見上げる姿に
「後悔、せん？」
と問いかけると頷いて抱きかれる。
「、、っ、ぁ」
俺の腕を掴んで恥ずかしそうに声を上げる姿が堪らんくて、腰の動きが激しくなる。
「将企くん！彼と仲直り出来たよ！」
「良かったな」
身体を重ねてから1週間後
嬉しそうに報告してくるAちゃん。
「またね」
手を振って改札を抜けて行く後ろ姿を見送って帰る。
「はぁ…」
乱れたベッドのシーツの波にゆらゆらと漂う漂流船みたいやな。
今頃Aちゃんは、俺が知らん男の腕の中...
ズタズタに壊したい、
壊せばよかったとよぎるくらいに愛しい。
好きや、
もっと早く出会っとったら…？
叶うはずないけど
連れ去って2人で誰も知らん遠い国に行ってまいたい。
絶対に泣かせんから
あの日の月がフラッシュバックして苦しくなる。
「Aちゃん、」
もう無理矢理キスをしてAちゃんの言葉のナイフで刺して欲しい、二度とこの想いが吹き返さんように。
それでも…
それでもAちゃんのこと、想い続けてまうんやろうな
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Blue moon / D.A.T
新年最初のお話が重めのしかも悲恋ですみませんm(__)m
気付けば、100名以上の方がお気に入りに追加して下さり、62票の評価、そして最高97位と嬉しい限りです。
ありがとうございます。
最近は気まぐれ更新でお待たせしてしまう事もありますが、ネタはまだまだ有りますので気長にお待ち頂けたら幸いです。
今年もよろしくお願い致します。
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作者名：裕 | 作成日時：2021年7月12日 1時
